性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

明日、なに着て生きていく?

先日ヤマシタトモコさんという漫画家さんの新刊が発売され、サイン会が大阪で催されるとの報を受けてテンションぶちあがって上がって大変だった。
とりあえず着ていく服がない。

合コンに着ていく服もないままに28にもなり、そして合コンに参加しないまま結婚してしまったが為に合コンに着ていく服すら知らぬままに着る必要が無くなり、何というか世間知らずのまま一つ知識を得られずネクストステージに立ってしまったという謎の後悔がある。
あそこでしか獲得出来ない防具を素通りして第二部の異世界に飛ばされてしまったRPGの主人公の気分はきっとこんなものだろうと想像しながら「いつかあそこで経験値が得られなかった為に躓く事があったらどうしよう」などと石橋建設予定地を金槌で叩いて完成に備えるレベルの不安に苛まれている。

それをネガティブで片付けられる人間はまだまだポジティブなのでyoutubeでも観てEXILEの数でも数えてろ。
僕はDA PUMP派だ予測変換から削除したAppleを僕は許さないからな。
ともかくそんな訳でいらぬ後悔を重ねない様にサイン会に行こうと思った。
サイン会に着ていく服を買いに行って、サイン会で何を喋るのかググッてそこに書いてある事なら手品でも、危険物取扱者の資格だってそこに書いてあるなら鵜呑みにして取得しようと思っていたけれど、一つの壁があった。
新刊はBL本だった。
しかも、これは読んでから気付いたんだけど主人公がほんの少し自分に似ていた。メガネの方が。自分という人間の最上位互換みたいなキャラだった。
どの面下げて行けばいいんだ。

先に壮絶なまでの決意を記しておいて何だけれど、揺れた。
そこまでの覚悟をした所でもうHPは残り僅かだった。
何故か脳内に再放送で観たキャプテンというアニメの劇場版、満身創痍になった主人公投手を相手に敵チームのキャプテンが非情にもカットし続けて球数を稼ぐシーンが蘇った。
きっと現実の厳しさを目の当たりにした瞬間としてリンクしたんだと思う。

そして揺れている間に予約券付きの新刊は完売。
僕はこうして新しい後悔の念を抱く事になってしまったんだけど、そこまで僕は愚かではない。
過ちは繰り返したけれど、一矢報いろうと些細ながら行動を興した。
予約券付きの新刊を押さえていた奥さんについて行って場の空気を体感する事で次に備える事にしたのだ。

当日、パーティションで囲まれた向こうにヤマシタトモコ先生がいるんだと高まる気持ちを前に、この壁を越えて行く戦士たちが一体どんな事を話すんだろう、と児童書のコーナーをウロウロしながらサイン会を終えた人達の話を申し訳ないながら盗み聞きしたりして情報を拾ったりした。
その内容についてはここに記す程僕は下衆ではない。心にしまって墓場まで持って行く。個人情報に手をつけた悪人としての最後の善行だ。
耳年増と笑うなら笑え僕は誰に後ろ指をさされても未来に種を蒔くんだ。
微かな手応えに気を良くしていた僕の目に、サイン会の列に並ぶ一人の男性が飛び込んできた。
場違いさに引きつった顔をしつつもどこか誇らしげにそこにいる彼。
誰と話すでもなく、ただ順番を待ち続ける彼を見て先のキャプテンを思い出した。キャプテンはカットし続けられても諦めずボールを投げ続けた。その姿と彼がダブった。
後光が射して見えた。

形振り構っていてはダメだ、と本当に思った。
次は必ず行く、と何故かマジで武者震いなんかしながらその場を後にした。

それ以降、行き場のない気持ちをやり過ごす為にライブハウスに通ったけど、結局コミュ力高いグループなんかが騒いでいて自分の居場所がここにもない、みたいな発言を読む度に思う。
そういうコミュニティが羨ましいと心のどこかで思っている自分への苛立ちを他者に向けてはならない。
本当に一人で良いならどこにも逃げ込まなかったハズだ。
一人でいるも良し、誰かと繋がるも良し、自分がこれだと思った方へ一歩進めば周りは割とどうでも良くなるものなのだな、と思いながら今のところ生きている。
目先の目標はこのモチベーションを半年維持するという非情に可愛らしいものではあるが、サラリーマン業を言い訳に度々投げ出して来た自分にはこれすら難しいのでは、と思う。
でも人生は一度きりなのでやらねばならない。

そういう気分で最近聴いているのが、ゲスバンドの「to Heart」です。
何でや。


本日の漫画
ヤマシタトモコ/スニップ,スネイル&ドッグテイル
時系列が複雑に前後するので一度読むだけでは把握出来ない。
脳内で組み立てられて得られた読後感もまた良い意味でシコリが残る気分ではあるものの、そんな事よりも何故女性は地図が読めないのに現代社会の様に複雑に入り組んだ漫画はすんなり読めるのかが気になってしまう。
作品としては素直に面白い。

本日のBGM
ゲスバンド/to Heart
東京のどこかに存在するというアンダーグラウンドからの使者。
度肝抜かれる技量と音程の概念を超えた鋼のボーカルで演出する茶番とその破壊は圧巻。
タカノさんは僕のスーパーファミコンギタリストだし、ポコニャンさんは僕のただのヒーローだ。