性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

今更レビュー:lostage「DRAMA」

冬季五輪は選手と応援席を茶の間で応援する。異国の秘境の伝統的な祭に引けを取らない奇抜な発想(板履いて飛ぶとか、急斜面を滑り降りるとか氷めっちゃこするとか)の競技を普段熱心に観ていないので難しい事は解らないけど、携帯でルールなんかを調べながら観たりする。
そしてそれを極寒の現地で応援する人達も応援するのが好きだ。
寒さを感じさせない目をキラキラさせた人たち、無邪気に選手の活躍に沸く人たち。幸せをお裾分け頂いてる気になる。どうか風邪など召しません様...。
高梨選手に似た女の子が昔会社を辞めてパン屋修行に出たんだけど、テレビで高梨選手が映る度に「○○さんパン屋頑張ってるかな」と明後日な方向で僕も頑張ろうといつも思う。

さて、今更レビューしたいCDが何枚かある。
今更だけど中途半端な思い入れの段階で書くより良いんじゃね?みたいな自己満足の渦に足を取られ、承認欲求オナリストに成り下がった末に生まれたブログに新たな日陰を作るだけの簡単なお仕事です。
文体も性格も定まらず、たまに偶然引っかかる大学生の飲み会、旅行、カフェ、サークルの晴れの日記録ブログのブレなさに感心する。誰かしらの誕生会に毎月参加してる勢いの人がいて、プレゼントが毎度ロフトで、何というかそれをブログに記録したいとか性格的に無理はしていないだろうか...と田舎に残って上京した親友の身を心配する様な心境になってしまったりする。心の底から余計なお世話。

今回書く作品はlostage(現在大文字表記に改名しているけれど、リリース当時は小文字だったのでここでは小文字で書く)の2ndアルバム「DRAMA」
2007年の夏に出たアルバム。
買った当時から変わらず、通算3枚目の流通盤にも関わらず、洋楽の過去の名盤ばりの完成度で聴く時は必ず通しで聴ける環境で、と拘ってしまう。
手持ち楽曲を集めて作り上げた感のある1stも名盤だと思うのだけれど、アルバムを通した世界観の統一感により、このDRAMAの名盤っぷりはズバ抜けている。
以下、とても長いのだけれどお時間ある方は読まなくて良いのでCD借りるか買うかして聴いて欲しい。後悔したら僕が代金肩代わりする、というくらいの気持ちでオススメしたい一枚。

「RED」の尋常じゃないベースから始まる本作。5拍子。この地面の下にとんでもないマグマがおりますよ、と宣言するかのようなヘヴィでパンチの効いた曲。キリキリするような緊張感のタメを経てジワジワと燃えて次に。何てカッコイイ。重さと軽やかさと鋭さ、このアルバムを聴いてしまった故に二本ギターがいるバンドに対するハードルは高まるばかり。
「ドラマ・ロゴス」のほんのり明るく揺れる様なポップさ。柔らかく漂っていたギターがサビでガッと硬質になるのも本当にドラマチック。この曲のドラムの表現がとても好き。奈良のバンドのドラムは大体化け物。
ちょうど作品の真ん中の「名前」のジワジワ暗がりに沈んでいく辺りからがこのアルバムの本領発揮だと思っている。僕のレビューもここから恐らくレビューを満たさないテンションになると思われる。いつもここでドキドキする気持ちを抑える自分がいる。高揚感があるサビなのだけれど、スッと沈んでいく感覚。声とギターとベースの共鳴っぷりに為す術もない。
「公園の裏の黒い蝉」はこのアルバムで一番カッコイイ曲。不穏!不穏!不穏過ぎて「不穏!」とお習字にしたためてそこら中に貼りめぐらしたいくらいの不穏さを経て大きくなる地響きが治まったと思ったその瞬間に噴き上げる間欠泉!!!あつい!火傷しちゃう!!!やーん!!!
そうして取り乱した様を毎回「魚はオイルの中」で省みて耳を赤くしながら気持ちを落ち着ける。誰もいない湖にボートを出して孤独を恐れない事は孤独を愛していないという事だ、みたいな意味解らないけど意識の高そうな事を考えてしまう。遠くで鳴ってるピアニカかアコーディオンか解らない様な音とギターの冷ややかな音が波紋の様に広がっていく曲。
「LIBIDO」はこの曲がリビドーってタイトルなのにまずニンマリする。アラサーになってよりこの曲に性衝動を感じる。重たいベースが鎮座する中、ハードなギターの掛け合い。大人のバイオリズムここに極まれり。「我の名は希望さ」なんてこんなB'zですら躊躇うギリギリCHOPな緊張感で歌うとか、もう。
そこから解放されたように炸裂する「壁」の体感速度ヤバい。単品で聴いたらそこまでなんだろうけど、筋肉番付で記録出しすぎて出禁になった室伏広治の様な無双さで、ぶっといベースとギターリフ、冷たく鋭いギターにボーカルというキッズの精神を崩壊させてしまう程に盛りだくさんな内容。おかわりしたい!エンドレスおかわりプリーズ!!
という願望をここはグッと我慢して「英雄と人殺し」という何とも身構えてしまいそうな曲へ進んで欲しい。ヴァイオリン引き連れて荘厳なイントロ。この触れ幅の容赦の無さ、自然界の厳しさに通ずる美しさがあると思わんかね?バンドなのにオケっぽい。伸びやかに歌う五味兄の声の楽器としての魅力。
あまりにも緊張感があり、あまりにもドラマチックなアルバムの最後は「海の果実」で。イントロからして総決算、普通に涙が程綺麗なギター。厳しさの向こうにこんな愛があるなんて反則だよな。ずるいよな、といつも思う。拓人さんのスタジアム級のギターが鳴り響き、手を取り寄り添う様に清水さんのギターが鳴る。岩城さんのドラムはたまらなく優しいし、五味兄の歌に何度救われたろう。この曲があるから負けなかった場面がいくつかある。音楽の教科書に載せて欲しいレベルの名曲。

いかがだろうか。後半おかしいけど、これで興味が湧いた人がいたらラッキーだし、逆に興味なくなった人がいたら死ぬほど申し訳ない。
はっきり言ってこのCDがヒットしない理由が全く解らない。
このヘヴィーなアルバムをメジャーで出すという選択をしたlostageトイズファクトリーにも頭が下がる。最早革命だろ。結果、思うようにいったとは思えないけど。
何が悪かった?歌詞が聴き取りにくいから?良い声系のバンドって妙に売れない気がするんだけど、あれ何でなんだろ。
今からでも爆発的に売れて欲しい。遅くない。今でもこれを超える作品は世の中にそうそうない。
拓人さんと清水さんというギターは僕のギターヒーローで、拓人さんタイプに関しては壊れかけのテープレコーダーズや大森靖子&THEピンクトカレフで活動する小森さんの存在を知るまで誰一人対抗馬がいないスタジアム級。
清水さんの柔らかくも鋭いギター。脱退ライブでは家に帰ってガンガン泣いた。今でも稀に夢にみる。
清水さんのCARDがこれまたオルタナウルトラカッコイイから尚更、もう戻らないんだな、と切ない気持ちにもなる。CARDも、今のLOSTAGEもとても好きだけど。

みろ。

何枚かこんな感じで書きたいCDがあるのでそのうち書こうと思います。
長くてごめんね、読んでくれた人には何もあげられないしここまで読んだなら聴けよとすら思ってしまうクズ人間だけど、本当に心からの感謝を。

またー。