性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

崩壊書評vol.6

図書カードを持って本屋に行くと、何故だか普段以上に冒険して本を直感購入したくなるのは何故だろう。
でも最終的に計画的に欲しかった本を買ってしまう様になった自分が弱くなったのではなく戦略的になったのだと言い聞かせている。
崩壊書評でーす。

星を継ぐもの/ジェイムズ・P・ホーガン(小説)
スターウォーズすら観たことないんだけど、凄く浪漫があるなー!浪漫とロマンは同音同意なんだけど全然違うと思っていて、絶対文字にするなら浪漫だと思うなーこれは!SFなんてものを知らない小学生の頃に読みたかったかも知れない。ワクワクして、優しくて優秀な人たちと渦巻く色んな問題もありつつ、続編含めて好きだなー。
ドンパチもないし、謎に迫る!的な内容だからそれこそ小学生とか中学生にあげたい。

ニシノユキヒコの恋と冒険/川上弘美(小説)
個人的にはあんまり面白くなかったんだけど、読んでる間ずっと微熱があるみたいな妙な興奮があったのが印象的。エロイ。

高齢初犯-あなたが突然、犯罪者になる日-/NNNドキュメント取材班(新書)
ノンフィクションに不安と切なさで泣きながら読んだ部分もある。それでもその年齢にならなきゃ解らない重みの数々が不安過ぎる。所々、グラフやデータなど参考文献からの引用が欲しい部分もあったのだけれど、全てが主観というかある種の筋書きに沿っているので読み物として考えた方が良い気がする。

悪童日記(映画)
読みたいと思っていたけど読まずに映画を観てしまった。多分ここ端折られてるんだろうな、と思っていた所はやっぱりその様だった。
戦争がどっしり横たわる映画を観ると疲れる。戦争が悪かった、大人が悪かった、時代が悪かった、壊れゆくものに美しさを見出す事の罪悪感に浸ってる言い訳の数。
本当に強くなったんだろうか、全てに追い込まれて彼らは「訓練」で耐えてやり過ごした。成長じゃないことを結局彼ら以外に気付いてあげられなかった。
残酷な正義に子供の心が蹂躙される様。
お婆さんがとても良かった。ある意味救われてしまったのは彼女だけなんじゃないだろうか。
映画が終わって外に向かう客が軒並み死んだ目をしていて、こいつら全員この目をする為に1800円払ったのかと思うと面倒な人たちだなと愛おしくなった。
ただこれを「感動の物語」ってポスターに記した人とは絶対に友達になれない気がする。

路地裏の資本主義/平川克美(新書)
文化村おじさん、だったか己の知識を披露して若い女性に近寄るおじさんについて奥さんが存在及び生態を教えてくれた事がある。
それが不快なのか有用なのかは受け手よりもおじさん本人の気品に依ると思うのだけど、一読して「この人は害のない文化村おじさんみたいだな」と感じた。
こっちから何かを得たくて読んでおいてなんて評価だと言われると謝るしかない。
難しい熱弁に突入するのをストップウォッチで計測した場合、日本記録に迫りそうなくらい抑えて抑えてこちらに解りやすく何でも説いてくれている気がする。
最終的には文化村おじさんと化しているんだけど、そこに達するまでには聞き手としての耳がそこまで達しているので最後まで興味深く読めた。
経済を勉強したい、と思ったけど全然とっかかりが無いので、専門書や入門編の前に池上彰やこういうタイプの何でも身近な話に置き換えてくれるものを読んでいる。知識でなくて意見を聞いて興味の取っ掛かりを探している感覚。
急に政権に怒り出したりするし急に話をぼかしたりするので文化村おじさんっぽい。(アマゾンのレビューにも似たことが書いてあって笑った。)
何にしてもこのペースだと入門編に達するのにあと3年くらい掛かりそう。

退歩的文化人のススメ/五十嵐光三郎(エッセイ)
文化村おじさんの括りで何度か読んでいた本を再読。
こちらはあくまで退歩的になる事を美学としている。ユーモラスで、間抜けなフリをしているけれど短い言葉がかなり鋭かったりして侮れない。
というか、かなり屈強な文化的フィジカルを持っていて、ボルトが流して走って金メダル持ってく的な印象を受ける。
絵を崩すにはまず基礎がしっかりしていることに似て、一般人には真似出来ない立ち位置だなとようやく気付いた。
そう考えて読んでしまうとチートキャラがボヤいているだけの本に思えて全然面白くない。

るみちゃんの事象/原克玄(漫画)
外から内に急激に曲がってくる速球みたいで、うわ!ぶつかる!?みたいに身構えてるとズドンとど真ん中に決まる感じ。下ネタの回が総じて弱くてゴリ押しのストレートが浮き気味になって打ち込まれてる気がするのはご愛嬌。
突拍子もないフレーズで組み立てられた感触はotoriのギターを念入りに聴いているソレに似た不思議体験。
アルバム発売中。良い作品です。

またー。