性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

崩壊書評vol.15

近所の子供の自転車に朝から轢かれそうになって初めて春休みの時期なのだなと気付いた。
春休みは僕を轢く所だった小学生の様に活発になれた記憶がない。小学生から高校生になってまでクラス替えというものがどうにも苦手で、春休みはいつも億劫で家でゴロゴロしてばかりだった気がする。新学期が始まると目標なんかを立てろと言われがちなんだけど、年始に立てた1年の目標の継続じゃダメなんだろうか、習字で書かされたぞアレ、と別にその目標すらすっかり忘れていた癖に思ってしまい、ノーカンになるなら同じ目標を今思いつきました!みたいな勢いで出してしまえと、そんな子供だった。
ロクな子供じゃない。
社会人になって目標の達成度なんかもキャリアに影響する様になって初めてちゃんと目標とか考える様になったので、まあ無事に大人になったのだなと一安心ですね。
はーい崩壊書評でーす。

ゲゲゲの大放談/水木しげる(対談集)
水木しげるさんと奥さんだったり娘さんだったりの対談。
寝る事の重要性と放屁について、本当に重要な教えだと素直に受け取れるくらいに繰り返されており従いたいところ。
めちゃくちゃ面白かった。向井理に対して「顔は、まあまあ普通じゃないですか」と言ってのける所から始まって最後までスラスラっと笑いながら読んだ。
テレビくんという漫画が収録されていて、これがまあ物凄い好みで繰り返し読んだ。

魔王/伊坂幸太郎(小説)
特殊能力の話。烈&豪で言う所の烈が好きで、でも烈ってどんどん豪のサポート役っていうか、豪がゴール決めるまでのお膳立てに特化していくみたいな姿を目の当たりにして本当に辛かったんだけど、何が一番辛いってゴール決めれるのは豪だけってめちゃくちゃ解ってしまってるのが辛かったんですね。
何かそんな気持ちを思い出しながら読んでましたね。(内容はそんな悲観的なのじゃないけど)
豪みたいな弟の、その魔王っぷりに頭のどこかで気付きつつも爽やかに読み終わってやっぱりお前魔王じゃんとなった後からぶわーって内容の反芻が始まる話だった。

終末のフール/伊坂幸太郎(小説)
地球が滅亡すると予告された後の世界の話。穏やかで善良な人たちが、それぞれの尺度で生にしがみ付いて死を解釈していく感覚は爽やかなのだけれど、冷静に考えるとあまりに荒々しくて野生味があって、想像するととんでもない世界観だなとゾッとした。
でもほっこりする内容は同じ避けられない死をモチーフにしたイキガミなどよりも自分の好みにあっていて面白かった。
ぼんやりと恩田陸の光の帝国という小説でボロ泣きしたのを思い出したけど、内容的にはあんまり関係ないと思う。

特選!!米朝落語全集第一集/桂米朝(落語CD)
「帯久」と「天狗さし」の二本が収録されてた。
「帯久」は優しい呉服屋さんと酷い呉服屋さんの噺。文字での説明がないのにブワッと条件が声だけで浮かぶのは歌を聴いて場面が浮かぶのと似た様な感覚なんだなと思った。言葉のリズムや声の調子、クライマックスで会場のボルテージがブチ上がっていく通快さが面白かった。
「天狗さし」は単純にバカな人のバカな行動力によるゲラゲラ笑える作品で、なんかもうゲラゲラ笑って聴いた。

世界音痴/穂村弘(エッセイ)
根暗っぷりが自分と同じ方向性で自分より酷く、他人事でない気がして読みながら不安で仕方なかった。
そんな人が生み出す短歌がまー凄く好きな感じで同族嫌悪出来ない素敵さにちょっとイラっとしてしまったんだけど、身近にいたら本当に仲良くなれないと思う、のだけれど別の本も読みたいので買う。ツンデレ系読者。

かけがえのないマグマ/大森靖子最果タヒ(私小説)
大森さんの用意してくれた線の外側からは、重心の低い戦車の様なドリブルでゴールに迫りズドンと蹴り込んでくるみたいな見え方をしていると思うんだけど、一歩その線の内側に入ると必死にスペースを作りながら何度も何度も組み立ててチャンスを仕留めていく様な見え方になる。何言ってんだって感じですね。
でも自分に誠実である楽しさだけじゃなく苦しさも何もかも隠さず、更にファンにまで正直であろうと奮闘してくれる大森靖子さんという方が本当に好きなので、余熱をタヒさんが削ぎ落としてくれた分だけ読み手の考え方を、思い出を上乗せ出来る親切設計だと僕は思いました。よ。

4月になっても年度末が終わらない、という意味が分からない日本語、でも確かにそんな毎日を送っているので本を読むペースが鈍い。僕の読書の優先順位なんてそんなものなんだろうな、と我ながら少し淋しく思います。

またー。