性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

コートを買いに行くというタイプの冒険譚。

スーツに合わせる良いコートが欲しくなったのでなけなしのボーナスを握りしめて買いに行った。

本来、仕事着にお金をかけることを嫌っていたのだけれど急にコートは良いやつでもアリなんじゃないかと思い至って買いにいった。

 

事前にネットで調べてみると、タケオキクチとかポールスミスとかがお手頃かつ身の丈に合うかと思っていたものの、マッキントッシュのサイトでコートを見た時に好み過ぎてマジ新垣結衣星野源スクラム組んで迫ってくる感覚に陥ってしまい、逃げるは恥だが役に立つ!逃げちゃダメだ!逃げるは恥だが役に立つ!逃げちゃダメだ!と押し問答した挙句、えーいここだ!ここしかない!!となって、マッキントッシュと言えどピンキリとのことで阪急メンズ館及び大丸に行った。

まずは普通の紳士服売り場で2万円とかのコートを物色する。徐々にグレードを上げていかないと、急にプールに浸かって心臓がビックリする展開になりかねない。接客にも慣らしておく為にも試着などもさせて頂く。

3万円、4万円で充分可愛い。いざとなったらココでも良い買い物が出来ると自身に入念に暗示をかける。「このフロアで買えるコートの時点で去年の倍の予算だぞ」と言い聞かせる。

そう、去年は場当たり的に安い1万円ちょいのコートを購入し、かなり後悔したのだ。可愛かったんだけど劣化の速度がマジ烈&豪でマグナムトルネード。

しかし4万円など出せば余裕で何年も着れそうで一安心だ。色んなお店で試着などさせて貰い、準備運動をする。世の中には素敵な服屋が沢山あるのだなと思うも、目的はキッチリ果たさねばならない。いざ。

 

まずはセレクトショップマッキントッシュを取り扱っている所へ行くも怖くて入れず、表面をサラサラっと流す感じで逃亡。

その後意を決してマッキントッシュ ロンドンに突入し、ビクビクしながら選び、候補を絞りに絞って試着したのは15万円台のショート丈のウールのコート。

滅茶苦茶柔らかいし軽いしスタイリッシュで最高!ネットには「マッキントッシュは言うほど暖かくない」みたいな事が書いてあったけど大阪の冬は暖かいんじゃコレで寒けりゃ何着ても寒いわ!」という印象だった。

しかし、何だか違和感がある。完璧に素敵だけれど、この感覚は何だ?

15万円のコートから「15万円のコートはまだ君には早いよ坊や」という声が聞こえた気がした。

そう、コートを着ているつもりが、完全にコートに着られていたのである。ランドセルが歩いていると揶揄される小学校の入学式を彷彿とさせる「着られてる感」がこの違和感の正体だったのだ。

同年代で年齢的に15万円のコートを着ている人は世の中に幾らでもいる。だけど、そういう人たちは15万円のコートに見合うスーツを、鞄を、靴を身につけているだろう。

そうでなければ、そのコートに気圧されないセンスもしくはメンタルを兼ね備えている必要がある。

その両方が自分に欠けている事が明らかになってしまった。これは自虐でも何でもなく、単純かつ清々しいまでの事実で、これまで自虐の裏に隠れてセンスを先天的なものと思い込もうとしていた事をマッキントッシュからご指導賜わった状態。背伸びしても自分が違和感を感じている時点でどんなに商品が素敵でも、それを好きになれる訳もない。あ!り!が!と!う!ご!ざ!い!ま!す!

俺にはまだ早かったぜ!アバヨ!とする前に変に吹っ切れてしまったのでカシミアの27万円くらいのコートを試着させて貰う。

店員さんに何てお願いをすれば良いのか解らず「後学の為に・・・」と意味不明な事を口走り最早供述の域。僕が警官なら調書を取るがそこはショップ店員、サラリとした対応でフワリと着せてくれた。

え?着た?え?着てる???という軽さと柔らかさ、これはコートではなく、羽衣!?羽衣だわコレ!かぐや姫!どっちかと言うと一反木綿!マジで地面からちょっと浮いてない?などとミスター味っ子の領域に爆ぜる語彙力。

 

40代とかで買える様に頑張って働こうと思いながら退店し、マッキントッシュフィロソフィーへ。

 あ、買える。俺はここで買う事になるであろう。

店に入った瞬間にそう思った。

一着のコートに吸い寄せられる。

ストーン!と効果音がつきそうな綺麗なストレートのコート。軽くて柔らかい。着る。綺麗で滅茶苦茶しっくり来る。お値段8万円。あー買う。もう買う。店員さん、早くこれをくれ。ワシにコレをくれ!となった。

冷静に考えても8万円というのは前任の7倍のお値段。スーツ2着分。

あれ?これ悪徳商法によくある「最初にスゲー高額の商品ふっかけて、後から安い商品出して買わせる」的なアレじゃね?自分でその流れを作ってセルフ落とし穴にハマってはいないか?と思いながらも、もう欲しくて欲しくて入店5分でお会計してしまった。

あと何故かついでにマフラーも買ってしまった。アンゴラウサギ何匹分か定かでないマフラーは柔らかいが普通に神妙な面持ちになってしまう。でも買ってしまった。

 

最近、ようやく服を買ってウキウキするという感覚が解りつつある気がする。

大事に着よう、40代にあのコートが着れる様になる為にはどんな感じでやっていけば良いんだろうなーと思いながら、買ったコートを着るのを楽しみに帰りましたとさ。

 

因みにフィロソフィーは何故か2店舗行った。

それにしてもマッキントッシュもこんなに連呼されるとは思ってないだろうな。なんかごめんな。

 

またー。