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性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

会社辞めた日記。

思いついた事を思いついた順に書く。

キャラメル色のコートを着た社会人バンドマンとすれ違うのを密かな楽しみに通勤していた。

そのバンドはメタルへの愛を拗らせた結果としてのパワーポップを鳴らすという貴重な存在で、普通にCDを買い、頻度は高くはないがライブを観ていたバンドだった。そのフロントマンがキャラメル色のコートの彼だった。

「キャラメル色」ではなく「キャメル色」だと後輩に指摘されたけれど、キラキラした目でガツンとポップを歌う彼にはキャラメルの方が合っている気がして、キャラメル色と書いている。

決して俯かず、かと言って胸を逸らしてグングン歩く訳でもなく、物静かに真っ直ぐ前を見て歩く彼とすれ違えるのが楽しみだった。

頻度としては週に3日くらい、勿論向こうはこちらを認識していないので一方的にではあるものの、社会人でありバンドマンである彼が、僕も生息するフィールドである社会人としてもしっかり生活している事が嬉しかった。

「好きな人と偶然同じ持ち物を所有している」という事が嬉しい、そんな感じで。

でも、彼がキャラメル色のコートを脱ぎ、僕が濃紺のコートを仕舞う日が来るより早く、その楽しみは終わりを迎える事になった。

10年以上勤めた会社を辞めたからだ。

彼が、ではない。

僕が、辞めたからだ。

 

会社の事が好きで、同僚の事も誇張も無く皆大好きで、ずっと一緒に働いていきたいと思っていたけれど辞めてしまった。

会社の事が好きなままで、同僚の事も大好きなままで辞める事にした。

慢性的な長時間労働で、10年後身体がもたないのではないかという不安が大きかった。10年後、そんな状態で転職活動をする気力があるかという不安と、そこで壊れて使い物にならない姿を同僚たちに見せたくないというおかしなプライドがあった。

 

まだまだ生きていく為に働く必要がある。それを考えると今がベストなタイミングだと考えて動き出そうとしたのは年始だった。

仕事初めから残業などやってられないと早く帰ろうとした所で直近指導を任されていた後輩(会社都合で途中でペアを解消された)に誘われて喫茶店へ。ペア解消後の仕事の精神的負担から退職したいと相談を受けた。

実は僕も退職しようと思ってたんだよねー、などと言える訳もなく、慰留を試みる。

あれこれ別のキャリア案を提示しつつ、同じだけ時間を掛けて転職のプランについても話し合い、結局転職の運びとなってからも色々と世話を焼いているうちに一月近くが過ぎていた。

(転職のサポートまでするというのは完全に会社に対する背信行為でもあるので、全てが済んだ後に先輩にチクチクと注意を受けた。)

自分の転職活動の遅れに焦りは無かったものの、もし慰留に成功していた場合には引き止めた張本人がしれっと退職する展開となるので2人とも退職するという流れが一番自然なのではと思った。言わなかったけれど。

後輩が退職したのを見届けてから本格的に転職活動を再開し、ハローワークで情報の登録をしながら転職に至った経緯を話す。

勿論仕事だからなのだろうけど、担当してくれた方は非常に理解を示し肯定してくれたので心が軽くなった。

その場で規模や条件が良かった2社の紹介状を発行して貰って帰った。

年が明けてから一度も土日が2連休であった事が無かったので腹いせに休日出勤をしている職場で履歴書を書いた。

 

転職サイトに登録もしたけれど、ピントが微妙にズレた求人が多く、これが自身の見通しの甘さに依るものなのかそれとも転職サイトの妙にゴリゴリしたポジティブさに対する不信感なのか殆ど使わなかった。

ハロワに比べて見やすくはあるものの、結局条件の良い会社はどちらでも自分で更に調べることになる為、どちらも運みたいな所がある様な気がする。というか転職サイトの方が掲載に金が掛かる分、見栄え良く載せて貰えている気がする。

友人に転職を仄めかした所、余程暇だったのか同業他社の求人を検索しURLを送ってくれたのだけれど、それが現職の求人だったので滅茶苦茶笑った。給与モデルが完全に僕のソレだった。

 

職務経歴書の作成も、履歴書の書き方も後輩と転職活動の話をする為に下調べが済んでいたのでスムーズに作成出来た。

面接の印象としては10年を1つの職場で過ごし、順調にキャリアを重ねているというクリーンさが大変にウケた模様で2社とも内定がスムーズに出た。

他にも探そうと調べてみるものの、複数の行き先を一度に提示されるともうこの中から選ぼうという気分になった。

 

 上司に辞めると伝えた時、上司は少し泣いて「決める前に相談して欲しかった」と言ってくれた。それを見て、逆に相談しないで良かったと思った。優しい人だ。とても好きだから、相談したら結局辞められないと改めて感じた。

敏感な後輩に勘付かれ、呼び出しを受けて白状させられた。

人伝に広まるのが嫌だったので、徐々に近しい後輩や同期に報告していった。リアクションは「何でですか」「置いていかないでください」「無理です」「考え直してください」と本当に涙が出る様な内容ばかりで辛くなったし、ここでもまた誰にも相談しなくて良かったと思った。

 

業務は送別会当日までバタバタで、送別会を主役が遅刻するという事態に陥った。

机の片付けも中途半端で、「残り全部捨てて掃除しといて100円あげるから」と後輩に依頼した。

自分が送別会を開いて貰えるというのは当然だけど初めてで、一番仲が良かった後輩から花を貰う時にこの子と一緒にいられないのかと思うと初めて涙が出てきた。

寄せ書きを渡してくれた後輩も大好きな子で、あまりに大きなものを捨てていかなければならないのだと思い知った。

本当にこの職場の人たちが好きで堪らないんだなと思った。送別会は結局4次会まで到達し、酔って寝てしまった後輩にもたれかかられながら丼を食べた。美味しくなかったけど、その味を忘れたくないと思った。

 

先輩や後輩たちと個別で焼肉や飲み会、旅行にお茶をするなどの約束をした。きっと寂しいっていうより心配してくれているのだと思うし、寄せ書きも信じられないくらい愛されている事を実感する内容でビッシリで、自分がここまで慕われているとは思わず、人の寄せ書きを間違えて持って帰ってきたのではという錯覚しそうになるレベルだった。

新しい職場への不安はいくらでもあるけれど、負けてられないという気持ちになった。絶対にこの人たちを安心させたいと思った。

 

帰り道、ふと通勤中すれ違う彼のバンドの曲を聴きたくなってタクシーの中で聴いた。

歌詞も曲調も、あまりに出来過ぎていて泣けもしなくて爆笑してしまった。タクシー運転手はヤバイ客乗せたかな?みたいな感じでこちらを伺っていた。ごめんな。

僕はまだまだ社会人として生きていかなければならない。

面倒なんだけど気質的に社会と接点を持たないと人間として機能出来ないんだから好都合だって思い直したい。

社会人としての自分だけは、実際どうだか知らないけれど、それでもあのキャラメル色のコートに負けず、しっかり前を向いて歩いている様に大好きな人たちからだけでも見えていたらいいなと思った。

https://youtu.be/-FmiszMXHEM

いつかライブを観た時に、昔勝手に励みにしてましたって言えたらいいなと思う。ファンの人は万が一コレ読んでもチクるんじゃねえぞ。そういうの野暮っていうんだよ。

働く男、そして生活はつづく(何故か唐突な星野源)

 

またー。

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