性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

崩壊書評vol.11

何かスカッとする笑える小説を読みたくて本屋に行ったのに随分重たいテーマの本ばかり買う矛盾した買い物をしがちなんだけどカッコつけてるんだろうか。
本屋で本を買うってだけで割と文化的でイケてる行動だと思うんですけど足りないんですかね。
何らか拗らせてる感が満載だけど、アクセス数ガタ落ち型コンテンツ、崩壊書評のコーナー懲りずにいきます。

クレイマー・クレイマー(映画)
裁判の良心が痛んでも自分の正当性を規律の中で主張する辺りが胃にきた。
世の中面倒くせえな。
最初から最後までの食事のシーンを順に思い出すと築き上げてきたものが確かにあるなーと。
本当に無駄のない良い映画なんだけどリアルに身近な人に離婚したと言われた日に借りたのでコンディション最悪だった。
昆虫キッズという好きなバンドにクレイマー・クレイマーという曲があって、その曲も凄く好きだし、映画が良かったのでより好きになる。昆虫キッズ解散してて映画では離婚しててなんか二重で切ないけど、どっちも良かった。

ムーミン〜南の島で楽しいバカンス〜(映画)
ストーリー自体はマンガ盤の南の島編がベースになっていて、全然知らなかったんだけどフランスが製作した映画だった。フィンランド頑張れよ。
手描きのシンプルさがトーベの曲線美を上手く表現していて、色彩も何で?という色を使いながらもとてもしっくり来るし統一感があって、3Dのパリっとした画素数を競う携帯電話かデジカメみたいな映画とは違う落ちつける感じがあって良い。
キャラクターは勿論日本に馴染みの薄い原作重視の性格で、原作派マジ歓喜。生まれる世界が違えばDQNくらいが彼ららしくて本当に素敵。
皆好きに生きてて、それに一番神経すり減らしてるのがムーミンなんだけど、この構図何か既視感あるなと思ったら「ツヨシしっかりしなさい」だった。ごめんムーミン、好きだよ。
ユーモアと風刺がまろやかながら効いたカラシマヨネーズみたいな映画。
字幕か日本語か選ぶなら僕は断然字幕。
アドリブが最小限でセリフもストレートなので原作派は迷わずこちらでOK。

何か異常に興奮してしまって、そもそも異常性を完全に見失ってる自分に読み終わるまで気付かないという異常な作品だった。面白い!

紋切型社会〜言葉で固まる現代を解きほぐす〜/武田砂鉄(コラム)
普段からweb媒体で武田さんのコラムをよく読んでいて大好きだったのだけれど、webの無料媒体よりも有料媒体だからか切れ味が上がっていて、攻撃力が高い印象。
自分の思考で言葉が足りず表せなかった事を代弁して貰えた感覚でスッキリした。

誘拐/本田靖春(ノンフィクション)
1963年に起こった誘拐殺人事件のルポ。
緊迫感が凄くて小説ならいいのにと思ってしまった。
執念の一言に尽きるし、捕まって終わりじゃなくて、犯人の心の変化まで追い続ける事で事件がありましただけでなく、社会に何が横たわっているのかが書かれている気がする。

崩壊する介護現場/中村淳彦(新書)
これに登場する現場ばかりでは無いと思いつつも、そうなりますよね感満載。
志を持って勤めて下さる方々が数合わせ的に流れ着いた同僚に疲弊するのはどの業界でもあると思うんだけど、生死に寄り添う仕事だけに僕の想像も及ばないストレスもあるんだろうなと感じた。
認知症になる直前くらいに安楽死したい気持ちになる。
何でこんな大変な仕事をしている人たちの給料があんなに低いんだろう、というのは未だに謎。

戦後史入門/成田龍一(歴史)
歴史の解説よりも、歴史を考える視点について分かりやすい言葉と事例で解説してくれるのがメインの本。
入門編ってこう言う本だよなーと有難く読んだ。テスト用の勉強に終始してしまったタイプで、歴史好きの人が当然持ってるこの視点を理解せずに来ていたので読めて良かったと思う。

七時間半/獅子文六(小説)
特急列車の乗務員さんたちのラブコメ
どのキャラもどこか不器用だけど一本気で読んでて楽しかった。
最後の終わり方がそこで!?ラブコメの癖にそこで終わるの!?と、爽やかでもズッコケでもいいからもう一歩、いや半歩だけ書いて欲しいと思わずにはいられなかったのだけど、ちゃんとオチはついてるのでもうこっちで妄想するしかないニクイ作品。

色々読みたいジャンルが溜まって来たのに何を読んだらいいのか解らない。
興味ある事なので頑張って調べる所存ながらも、ついついどこかに保険の窓口的に「そういうやつならコレかな?」みたいな、本なら何でも相談に乗って提案してくれる窓口があったらいいのに、などと思ってしまいますね。

またー。