人生で初めて1人で立ち飲み屋に行った。
どうにも店でビールが飲みたくなって、そんな感覚になったことがこれまで無かったが為にその衝動を完全に持て余していたのだけれど、駅に立ち飲み屋があるのを思い出した。
どう考えても地元の中高年が集う雰囲気だったので迷ったものの、このかつてない店ビール欲はコンビニでは解消出来そうもないという諦め半分、中高年御用達の立ち飲み屋への興味半分で暖簾をくぐった。
そしたら、まず暖簾からカウンターまでの近さがこれまでの常識が通じないくらい近くて上手く暖簾くぐれなかったよね。
暖簾をくぐりきろうという勢いでカウンターに腹をぶつけてスゲー初心者感をアピールしてしまった。頭では解っていたんだよ、暖簾からカウンターまでの距離が一歩分しかないという事は。でも暖簾を手で「やってる?」って感じで搔きわけるというアレ。アレをすれば良いという発想がない程に素人だったのである。
どう考えても挙動や見た目年齢の低さが初来店だったせいで店主のお婆ちゃんめっちゃビックリした目でこっち見てた。普通に恥ずかしい。
恥ずかしいが、これも経験、知ったかぶりを貫いて事故を起こすよりも良い筈であると思い直しビールを頼んだ。
解っていたけれど常連さんと店主のお喋りの間を突いて注文するのが難しく、その変拍子の鉄壁っぷりに結局お代わりを頼むのが限界であった。事前知識が一切ない状態で凛として時雨かPeople In The Boxのライブに行った様な気分だ。展開が読めないし息つく暇もねえ。あと両バンド共、マジでビール似合わねえ。
まーそんなもんお前も客だろ好きなタイミングで頼めよって話かも知れないけれど、どうにも郷に入っては郷に従えというか、その店のグルーヴを感じる事だって外食の醍醐味ではないだろうか。自然と培われた空気感を極力邪魔したくないのである。正直言うと人の邪魔になるのが極端に苦手ってだけなので、まあ全ては建前である。MCで奇声発したりウケ狙って拾って貰おうとする奴に理解がない方なので、そうなりたくないという意味の分からない葛藤がある。あいつらの前世きっとタタリ神だよ。いやだいやだタタリ神になんかなりたくない!と悲痛な声をあげるサンくらいそういう存在になりたくない。全く面倒な性格である。
そんな僕ではあるものの、最終的に隣り合った常連さんと地元トーク的な事をし、その引き際の見極めが難しく予定より1杯多く飲んで退店に漕ぎ着けた。
自己採点すると60点くらいの身のこなしだったものの、雰囲気を満喫出来たのでとても楽しかった。
この経験を忘れてしまわない内に再来店し、今回の反省を活かして楽しみたい。
立ち飲み屋に対して「経験」だの「反省」だの言ってるうちは先が思いやられる気もするが、初々しくて可愛いとチヤホヤして欲しい。嘘だ。大丈夫、死にゃしないからそっとしておいてくれ。
あと、人生で初めて仕事帰りの平日に髪を切りに行った。
よくよく思い返してみると、中学生、高校生ならまだしも大学生の頃も平日に行ったことがなかった。
おかしいだろ平日の大学生とか暇の権化というか自由の年パス与えられてんだろと思ったけど、理系はそこそこ忙しいしバイトもしてたので髪を切るのは結局休日だった気がする。
そんな訳で定時退社して馴染みの美容室に行ってカットとヘッドスパをして貰った。
もう何年も通っているのに初めてプレジデントとかお洒落建築とか出て来て、かつてこんな雑誌のチョイスをされた事がなかったのでスーツの効力としか思えない。ていうかこんな雑誌置いてあったなんてマジ知らなかったぞ、逆に普段の自分が果てしなく舐められていた可能性に思い至るも深く考えると切なくなるので早々に放棄した。ダメージを軽減する方法を身に付けるのは決して悪い事ではないと声を大にして言いたい。なんせカットに来てもヘアカタログすら出て来ないですからね。いや、ヘアカタログは今回も出て来なかったんだけど。どうなってんの。
それにしても、馴染みだけあって気楽である。両サイドから二人掛かりでブラシで切った毛を払われるなど完全に遊ばれている気もするけど、まあ気楽なので多くは求めない事にしたい。
とりあえず仕事帰りに髪を切って翌日も仕事という流れは初めてなので新鮮で良い。
スッキリした。
案外人生初っていくらでもあるのだなと思うし、それが楽しいものであれば、どんなに些細なものでもどんどん実行するのが吉かも知れないと思った5月の終わり。
6月もそんな感じで乗り切れたらいいな。
またー。