性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

鋼の錬金術師〜それを見たら、終ワンダーランド〜

映画を久々に観たので雑感を書いていく。

以下、ネタバレの危険性があるので気を付けて頂きたい。

雑感を書き逃げるタイトルは

・IT〜"それ"が見えたら、終わり。〜

鋼の錬金術師

ムーミン谷とウィンターワンダーランド

の三本です。

 

【IT〜"それ"が見えたら、終わり。〜】

そもそも予定になかったのだけれど、久々の映画観賞予定が鋼の錬金術師ムーミン谷とウインターワンダーランドという打撃力はまだしも命中率に不安を抱えるタイトルだけだったので、ここはヒット作のひとつでも観て気持ちを奮い立たせようと選んだのがこの作品。

単純にホラーが貞子vs伽倻子ですら怖過ぎてギャグとか言ってた人たち全員びっくりドンキーのメニューで指挟んで大っきめの声出ちゃえばいいのにって思っているくらい苦手なんだけど、まあスティーヴン・キング原作なのでストーリーそのものも面白くて観れるだろという発想で観賞。

その発想が安易であったことは序盤で思い知らされた。バカ!怖いじゃんバカ!誰だよ大丈夫だよーってチケット予約した奴!俺だよ!バカ!!!

ITにもちゃんと名前があるんだけど、こう、見えて生還する人がいないから"それ"って呼ばれるのめっちゃカッコよくねえかと思っていたんだけど、後半になるに従いまあまあ生還するので主人公たちがワンターンキル喰らわない程度にレベルを上げているんだろうという気がした。これはあながち冗談ではなくて、友情とか恋とか、単純に自分の境遇の不幸さを自分で認めるという過程を経て恐怖に対する強度をあげて成長しているからだと思う。

"それ"にやられるより家に帰る方が怖いみたいなセリフがあってめっちゃ泣けた。

それはそうと、"それ"の登場の仕方が怖いターンとギャグかよというターンと二種類あって、そのギャグの後に直球で怖いのを配してきたりするので覚悟してても簡単に打ち取られてしまう。さながら技巧派投手のテンポよ。

BGMがとても良くて、冒頭のBGMを母親がピアノで弾いてるシーンなんかは凄く好きで、隣に座っていた女の子が「お前が弾いてるのかよ」と小声でツッコミを入れたのがツボにハマってしまい暫く苦しかったんだけど、そのピアノが聞こえなくなったのが恐怖の合図というように、BGMが急に不安な方へ音を外したりするのがドラマチックで心の準備をして衝撃に備えることが出来て良かった。それでも怖かったけどな。バカ!怖がらせんなよ!楽しいのかそれ!

隣の女の子が噴き出すくらいのリアクションを取ってしまったシーンがあって、もう二度と劇場でホラーなんて観ないぞと心に誓った。

怖がりでもお金払って他人に囲まれたらなんとか平静を装って観てられるんじゃないかと期待してたけど、全然無理ってことを我が身を持って知った。無理すんなって死ぬ訳じゃねえし、無理したら逆に心臓に負荷掛けて最悪死ぬしって感じだった。

不良が土地に渦巻く呪いめいた重たいものの蓄積というか、異常さの餌食となって最終的に死ぬみたいなの見てて辛かった。誰だって不安に怯えてるんだなと思って、どうか救われて欲しいと思ってたら呆気なく悪者のまま本筋と関係なく死んで(むしろ土地の穢れめいた話だとすれば本筋なんだけども)しまって寂しい気持ちになった。

あとは不良を筆頭に要所要所で暴力が解決策として最適みたいな選択を自然としている辺りにアメリカっぽさを感じる。スクールカーストの厳しさだったりシリアスさから暴力までの距離が不良に限らずナードだろうが滅茶苦茶近いのも笑ってしまったし、詩的に繋がっても最後は顔かよみたいな呆気ない失恋が妙にリアルで笑った。言葉じゃなくて顔と行動力だぞ、とオタクへ強烈なストレートを投げ込んでくるぞこいつ。Twitterでイキっててもひとり、みたいな。

何より主人公たちがみんな可愛く、キャラクターとしても魅力的で良かった。みんな好き。

ボンヤリとした知識でもって時間軸が二つあるハズではと思っていたのでラストにこれが第1章と明かされた際には「やっぱ終わってなかった!!」という気持ちになった。

第2章では、ホラーを暴力で解決出来ないってようやく気付いた主人公たちが現代(今作は80年代だった)を舞台に奮闘するんだろうか。それとも更なる火力でホラーをねじ伏せんとするのだろうか。だとしたらマーベルだよお前ら。その時はそっち側いけよな。応援してっから。

ついさっき二度と観ないと誓った癖に絶対に確認しに行くパターンだと思う。それくらい面白い映画だった。

 

鋼の錬金術師

来場者特典の0巻を等価交換で錬成する為に、というのもありつつ、世の中的に観たら負け的な風向きも単純に腹立ったので何か言うなら観てから言えの精神で観た。

どうせなら不満を先に全部述べてしまおうと思う。

山田さんが日本人屈指の綺麗さと少年性があることは間違いないし、ファンでもないけど綺麗な人じゃなと思いながら観ていたけれど、流石にエドは無理がないか。年齢的に。腋毛よ。アルフォンスの声がどう考えても低過ぎるのは年相応のキャスティングが出来なかった事への徹底的な帳尻合わせだと思う。

そんなに小さくないし幼く見えないので、チビとか子供とか言うのがいちいちキツい。これがミュージカルというか舞台としての作品ならすんなり受け入れられる事も映画となると意外と厳しい。舞台と違ってカメラは寄っていくからかも知れない。己の想像力の限界だろうか、とりあえず日本人にさせるのがかなり無理があった。

冒頭の幼少期エルリック兄弟の服の質感も凄まじく残念で、いやそんなしっかりしたTシャツ間違いなくイオンで買えるやつじゃんって気分になってしまった。傘がジャンプ傘でその金具が一瞬写り込んだのだけは本当に辛くなった。客ナメてんのか。冒頭からコレってどうなっちゃうの、と思った。

予告編で一番ねえなと思っていたのがエドがアルの胸板にオデコをコツンとやるaiko的アプローチだったんだけど、これの前後に本編ではちゃんと組手(というか殴り合いのケンカだけど)の下りがあって少しホッとした。

兄弟の絆を描くのに時間が足りなさ過ぎて、優しい接触みたいな解りやすい表現を選択せざるを得ないんだなと思った。

だってエルリック兄弟はそうじゃないじゃないですか。そうじゃないからこそ、こんなに多くの人がエルリック兄弟の兄弟愛にグッと来てるんだって僕は信じている。

全体的に貧相でガバガバでホムンクルスとの対峙も浅いしロイはどう見てもディーンフジオカだし俺の大好きなヒューズはただの佐藤だったしホークアイに至っては合コンで何度かお目にかかりましたよねって感じだった。大体相手にされなかったな、僕。辛い過去だな。

でも、あんまり触れられてないけどエンヴィーがビジュアル的にも今作の役回り的にも一番報われないと思った。もっともっともっと魅力的なキャラクターだよ、俺はちゃんと知ってるからねって3時間くらい励ましてあげたい気持ちになった。エンヴィーこんなに好きだったんだと思った。

全然ポジティブな言葉が出てこないんだけど、酷評したいって気持ちはなくて、むしろあの予告編とポスター作った奴誰だよ、予告編とポスターに比べりゃ全然良い作品じゃねえかという気持ちが大きい。

ハッキリ言って予告編に比べれば70点は差し上げたい挽回具合だったと思う。

戦闘中のコミカルパートで上体が後ろに下がった走り方をするエドの感じとか、アルフォンスの記憶を巡る兄弟喧嘩で左手で殴り続けるシーンとか良かったと思うし、本田翼が本田史において近年稀に見る短さのスカートで登場するところとか、本田翼のクシャっとした笑顔の可愛さとか良かったと思う。本田翼が本田翼過ぎてウィンリィもそこそこ損してる気もするけど、ウィンリィより本田翼の方が好きだから上手くフォロー出来ない。

長々述べてしまったけど、「鋼の錬金術師という原作無しのオリジナル作品であれば普通に楽しめる映画だったなー」という感想に全てが集約される作品でした。観ないで文句言ってる人は自分の聖域を守りたいなら観ない方が良いとは思う。以上。

 

ムーミン谷とウィンターワンダーランド

ムーミンムーミンたるソリッドさを源泉掛け流しで端数処理せず見る側にドンと投げてくる作品だった。

ムーミンファンでなきゃ恐らく耐えられない。ゴボウそのまま渡されて齧って「自然本来の味が最高」って言えるレベルでムーミンの世界観自体を愛せてる人には最高の作品だと思う。

例えば「ムーミン 南の海で楽しいバカンス」というアニメーションの劇場作品があるんだけど、こっちは本来のファンでない人にもムーミンの良さを上手く味わって貰おうとしっかりまとめた感があって、誰が観ても面白い作品に仕上がっている。一方、本作はそうじゃなくて解ってくれる人が解ってくれたらいいみたいな感じが凄いする。頑固オヤジの隠れ家居酒屋みたいになってる。ぱっと見めっちゃ入りやすそうなカフェなのに。

ハイライトとしては、僕の好きなおしゃまさんというキャラクターが原作の彼女が持つ面倒見の良さだけでない強烈なパンチ力を本作では遺憾なく発揮していてマジ最高。攻撃力だけで言うならショムニ江角マキコ級の圧を放っておりたまんなかったんだけど、何にも知らない人が観たらキツイ女の一言で片付けられてしまいそうなソレだった。そこがいい。

ムーミンのキャラクターは現代社会に人間として存在したら大体病名がついてしまう程に尖っていて、だけど皆が結局上手いこと大らかに生きて幸せそうにしているのが愛おしいので、そういうニュアンスが伝わる作品としては本当に優れているんじゃないかと思いながら観ていた。

後は、絶妙なパペット感?フェルト感?とナレーションの美しい言葉選びが素敵なのが良かったと思う。個人的にはナレーションの言葉選びがこの映画における最大の演出だった気がしている。凄く良かったと思う。

CGだの高画質だので描けない色彩なのも心洗われるというか新鮮に感じて良かった。

もう一度観たいかと言われると、10年後にもう一度観たいという感じ。10年後に観てめっちゃ泣いてそう。セラピー的な意味で。そんな作品だった。

 

めっちゃ長くなって何かごめんな。

色々書いてるけど、間違いなく映画は良いものだなと三本立て続けに観て思った。

もっと色々観に行きたいと本当に感じている。

 

またー。