///靴底をすり減らして歩き通した夜の神様は/始発と共に嘘になった/簡単に重なった気がしたお互いの輪郭も/向かいのホームで読めなくなった/橋から飛び降りる夢を見ながら始まりの電車でどこか遠くへ///
///遠慮しているうちに酸素が足りない/当然が解らなくて出遅れる/不都合からの脱出ポット/いつまでも溶けない砂糖みたいに/ある訳ないのにずっといる/出来の悪い悲しみだから構わないで欲しい/頭の悪い願いならば叶わないで欲しい/引き算ばかり欲しがっていつかゼロになると知っているのに///
///蹲って帰らない期待の頬の淡さ///
///優しい人の淡い傘は優しいままで折れてしまった/差し出した手は痺れたままで使う絵の具が減ってしまった/まるで壁みたいにもたれ掛かった人たちはどこ/使い果たして夕焼け小焼けそれぞれ家に帰ってしまった///
///夢で拾った猫の感触を目覚めても探してしまう/喪失感の尻尾だけでも撫でてあげたくて///
///カラスが指輪を咥えて飛んでも誰もが俯いていて気付かない/全ては小さくまとまってその手の中にあるのだから/世界が変わってしまってもただ何となく生きていける///
またー。