性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

2018年に観た映画をまとめただけ日記。

今年は映画をよく観たので勝手にその振り返りというか総括をやってみようと思う。

ネタバレだけは気をつけたいと思うけれど、予告編で流れている内容くらいは触れる可能性があるので予告編すら許せないネタバレ極刑主義の方はどうか自己責任でお願いしたい。

 

ちなみに2018年、映画館で観た作品はコチラ。

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自分用の記録としてメモに書いていたものなので表記的に端折ってしまっているものもあるけれどこんな感じである。

全23作品でそのうち1作品は2回観たので24回映画館に足を運んだことになる。半月に1回のペース。

今年公開の作品に限らず、過去の名作「バグダッドカフェ」や「灰とダイヤモンド」もスクリーンで観たのでカウントに入れている。

個人的なペースとしては例年に比べてよく観た方だと思う。

 

映画って本当にメインテーマだろうがそうじゃなかろうが人間関係が何となく歪で、それを根っこにして進んでいくことが多いなと思っていて、人間集まればそりゃ関係性も生じる訳で、そこをすっ飛ばして捉えようと思うと僕のキャパ程度ではもう1人で無人島で暮らさせるくらいのことをして貰わないと無理かなーみたいな気がしている。極論的にはナスDの無人島生活くらいのニュアンスで単独突破というか。

だから何を観てても関係性に目が向いてしまう。本筋が面白いより先に気になってしまう。

今回はそういう部分ばかり目を向けて書いていこうと思う。

そういうのではなかったナスD的な映画は「ヴェノム」と「ジュマンジ」くらいかも知れない。ヴェノムは関係性を創り上げていく映画だったし、ジュマンジスクールカースト的なやり取りが設定としてあるのに作品の深みに全く繋がっていなくて機能していなかった。(面白くなかった訳ではない)

 

まず家族における人間関係にエグさを感じた作品を挙げていこうと思う。

「blank 13」と「バーバラと心の巨人」、「ヘレディタリー」は家族における葛藤が三者三様で凄かった。「blank 13」は家族の生活を滅茶苦茶にして失踪した父親との向き合い方を淡々と描いた作品で、予告編でも死んでるので言うとその父親は死んでしまうし、失踪してる間に色んな人と生活して好意を抱かれている事への「残された家族」としての納得のいかなさと受け止め方が良かった。コミカルでまぁしゃーねーな的な落とし所から、少し先にある「とは言ってもなぁ」まで持ってってくれた感じが良かった。

家族の評価に葛藤があるという意味では「パシフィック・リム アップライジング」も割としっかり描いていて、ロボットかっけー!!怪獣こえー!!みたいなのを観に行ったのに「あ、お疲れ様です…」となる部分があった様に思う。

バーバラと心の巨人」は立ち向かう事で逃げる、もしくは逃げる為に立ち向かうという、誰でもやってしまう「没入することで死角を無理やり作る」と言う事で主人公と主人公の姉が心を護ろうとしているのが痛々しかった。

「ヘレディタリー」に至ってはすれ違いや思い込み、押し付けのオンパレードがスカイツリーくらい積み上がった状態で映画が始まっており、昼集合で延々飲み続けていた地元の集まりに夜9時ようやく帰省し直行、合流したくらいのぶっちぎり具合で「あ、仕上がりまくってんなー」という感覚だった。入店した頃にはOASISの合唱が始まってる感じ。

ヘレディタリーの場合は「この愛を何故解ってくれないんだ」というのがナイフ同士のクロスカウンターと化していて、その押し付けが生んだ想像を絶する恐怖映画って感じなんだけど、この愛情の押し付け方については「リメンバーミー」が案外ヘレディタリーに近いものを感じた。

近いと言っても蒙古タンメンとミネストローネを遠くから見て似てるなと感じるくらいに同色異味ではあるんだけど、リメンバーミーは兎に角「幸せとはこうあるべき」「愛してるからこうなって欲しい」という家族ならではの押し付けが凄くて、教育熱心な親とか絶対このテーマ発狂しそうなモンだけど全然話題にならなくって、押し付けてる側ってまず押し付けてる感覚がないから自分がこういう事をしてるって気付かず楽しく見れちゃうんだなーと思うと本当に恐ろしい映画だった。主人公みたいに主張し続けないと解って貰えないんだなとちょっと陰鬱とした気分になった。作品としては滅茶苦茶面白かったけど。

 

人間関係と言えば社会とか組織における関係性もドラマチックで凄く気になってしまう。

孤狼の血」はこれがマル暴とヤクザという任侠感ドカ盛りの世界観でギュウギュウに描かれていて滅茶苦茶面白かった。粗暴な様で繊細なバランスの上に社会が成り立っていて、何かを満足に得る為には誰かに退場して頂かなくてはならない、という社会の縮図。おおきくふりかぶってやH2しか知らずに高校野球の観戦に行ったらガラの悪さというか無骨さにビビるくらいのインパクトがあった。

暴力抜きにこれを表現していたのが「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」で、表現っていうか実話に基づいているから現実にこういう事はあるんだよなーと思う。どちらの作品にも金と地位に追われる脅迫観念みたいなものが横たわっていて足を取られまくっている。

両作品とも格好良い男性俳優が山程出ているので、そういう意味でもオススメである。ビリオネア〜の洋画あるあるな非日常全開のイケメンスーツじゃなく、日常にいそうなイケメン大集合なのが妙にリアルでその辺りを特に推したい。ニベアのCMに出てくる外国人くらいの親近感。

これを全員難があるのにチャーミングなおじさん、おじいさんに置き換えたのが「スターリン葬狂想曲」で、ソ連のお偉いさん達が皮肉めいた笑いをバンバン提供してくれたんだけど、社会主義の冷徹さへ急に舵を切るそのタイミングが絶妙で「あ、この人たち政治家だったわ」と思い知らされた。ハロウィンにお菓子くれても銃声したわヤクザはヤクザだったわみたいな。

他にも「名探偵コナン ゼロの執行人」も意外とこのカテゴリーに入ると思っている。「安室のオンナ」を全国的に生み出した強烈な褐色キャラ推しアニメ(昨年は全国的に平次の彼女が爆誕した。コナンで人気になる為には日サロに通うか怪盗になるのが近道)ではあるけれど、トリックや動機のガバガバさに反して組織に対する葛藤みたいなものが色濃い。えっ…そんなん気にして観てないんですけど…という憧れのバンドマンの対談記事で着ているTシャツの英文だったりテーブルに置かれたペットボトルのラベルに写真のピントが合っている様な気持ちになる。ただそこを細かくあるものとして描いてくれているから骨太感が出てくるという気はしている。

そりゃバンドマンがTシャツ着てなかったら服着てってなるわな。着てる方が対談内容が頭に入ってくるし良いに決まっている。(着てなかったらそれはそれでご褒美なのかも知れないけど)

あとは「プーと大人になった僕」も家族というより社会との関係性についての重さが強かった様に思う。管理職の苦悩。世間という同調圧力が作った幸せを目指さなければならないという使命感による疲弊。100エーカーの森にお住いの皆さんはいちいちとっても可愛らしくって癒されまくったんだけれど、でもこいつら税金払ってないし、食ってく為にお金がいるとか理解出来ないしな…と求めてはいけないものまで求めてしまって己の小ささに軽く凹んでしまった。

現実社会の政治、宗教を踏まえた関係性という意味では「華氏119」と「ガザの美容室」が強烈だった。華氏119についてはドキュメンタリーなのでリアリティーという言葉を使うのもおかしな話なんだけど、例えば水道事業の民営化や銃社会なんかについてはマジでこうなる可能性もあると思うと怖くて仕方がない。

勿論上手くいく可能性だってあるけれど、知らないままで決められてしまう事への恐怖を知るというのはとても大切なことだと思った。

ガザの美容室は宗教と政情不安を丸々描きながら、美容室という閉鎖空間で二重にそれをゴリ押ししてくるので心が締め付けられる思いだった。頼んでもないのに大盛りカレーをサービスで更に大盛りにしてくれた様なインパクトは凄かった。

 

家族の関係性が素晴らしくても社会的な関係が追いついていないという複雑さが主題に大きく影響を及ぼしたのが「君の名前で僕を呼んで」だった。性的マイノリティーという言葉すらまだ無いのではという時代に同性愛を描いた作品というポジションになるのかも知れないけれど、とにかく美しくて素晴らしい恋愛映画だった。

主人公エリオの背伸びしてフラついてしまう自身の足元への苛立ちだったり、投げたボールが思ったところに返ってこない拗ね方が胸を締め付けたし、オリヴァーの社会を知っているからこその葛藤とエリオへの気持ちが痛かった。

映像も風合いと言っていいのかとても色彩が美しく、テンポも絶妙だしエンディングも素晴らしかった。

 

その他、全然触れてない映画も面白いものばかりで「カメラを止めるな!」は二回観た。最初は関西では京都のイオンでしか放映されてなかった時で2回目は拡大上映のタイミングだった。映画って面白いなー!映画って最高だな!という気持ちで観られた楽しい作品だったけれど、気持ち的に惹かれるポイントがほぼ無い作品だった。

ボヘミアン・ラプソディ」はライブシーンの再現度と臨場感が凄くてテンションがブチ上がった。リアルタイムの世代では全くないので彼等がどんなポジションのアーティストであったのか勉強になって良かった。

他にもあるけどとりあえずこれくらいにしといた方が良い気もする。

 

今年観た作品の中で無理やりベスト3を選ぶとしたら、

1位:君の名前の僕を呼んで

2位:孤狼の血

3位:名探偵コナン ゼロの執行人

今の気分ではこの感じ。

 

来年も観たい作品が控えてるし、もう公開中なのに行けてない作品も複数あるので時間とお財布に相談して観にいきたいと思う。

 

またー。