性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

2023年に観た映画

年末になるとオタクというのは浅かろうが深かろうが1年を振り返り、どこに需要があるのかも判らないがそれを文章に記してネットで発表する性質があると思うし、この時期になると名前も知らない誰かのそういう記事を読んで自分が楽しんでいるというのもあり、まぁ今年も近所の池に渡り鳥が飛来しましたな、くらいの気持ちで眺めている方が誰かいたら、数年後に読み返す自分以外にも届いてくれたらラッキーだぜという欲を原動力に今年も書いていこうと思う。

 


2023年とは何だったのか、矛盾しているけれど「最悪なことも多かった」という感じで日記的な振り返りをしても仕方がないし映画、本、音楽の三つに分けてまとめようと思う。今回はそのうちの映画について。

映画はAmazonプライム一択でサブスクにもお世話になったものの、日記にまで書き残した作品がないので劇場に足を運んだ作品のみ軽く振り返りたい。

安くない料金を払い、座り心地の良い椅子に飲み物を買い、でっけぇ画面で観て初めて印象に強く残る程度の映画好きなので解釈違い甚だしいみたいなのもあるんだろうけど、お構いなく。お気になさらずでもご了承くださいでもない。

劇場で観たのは多分13本。そのうち1本はバッファロー66の再上映枠で除外すると新作は12本だったし、更に1本は阪神タイガースのリーグ優勝ドキュメントなので、誰もが映画と思う作品は11本。例年に比べると少なかった。

関係性が近いと判断した作品を順不同に並べる。

ようこそZ画館へ。(2023年を象徴するフレーズ)

 


『EVERY THING EVERYWHERE ALL AT ONCE』ではマルチバース体験に「あの時、別の選択をしていたらどんな自分になっていたんだろう」と自身を重ねながら、「今しか生きられない」ことを「今を生きなきゃ」に変えていく作業として振り返りを続けるのは大事なのだなと会社の研修もしくは僧の説法の様な事を考えたし色彩はイケイケでカッコ良かった。

『THE FIRST SLAM DUNK』はエブエブと違って「あの時、こう決めたから今がある」みたいな話というか、熱意と継続の結実というものが格好良くて痺れた。世代的に外れているのもあって詳しくないけれど、部活観が現代にアップデートされている印象も受けた。

『リバー、流れないでよ』は一部の地域で全員が2分間を繰り返す中で解決策を探したり自他と向き合っていくトライ&エラー作品でほんわかした。

『エゴイスト』は、愛について「気持ちを押し付け合って受け手が互いにそれをどこまで許して受け入れ合えるか」という定義がされていてマジでそうなんだろうなと思った。込めた熱量が正しく受け手に伝わるか期待するのも本来エゴだし、お節介の最上級みたいな所でもあるそれが受け入れられて相互認定されて初めて愛になるというのはブン殴られる衝撃の再認識だった。

『怪物』に関しても愛は押し付けというか、「良かれと思って」の積み重ねが罪重ねというかどんどん否定として蓄積され、応えられない辛さもあって解放されたいという願いが引き起こした悲劇の様な作品でかなりキツかった。美しかったけど、僕にはかなり辛かった。

『アステロイド・シティ』はまさに親子という部分と親は親、子は子という両者の成長がユーモラスに描かれていて観ていて楽しかった。ウェス・アンダーソン監督作品は色彩がオシャレでミニチュア感すらある引きの構図がゲーム画面みたいでワクワクした。ユーモアの中にもしれっと毒物が混入していて、気付くかどうかは飲んだ人間次第みたいなスタンスも問いかけられ方として自分に合っているかもと思った。

『Pearl』は老夫婦シリアルキラーが大活躍する『X』の老婆がいかにしてヴィラン覚醒となったか、という作品なんだけど作りが違いすぎて単品でも完璧な作品だし、Pearlから観た方がいいんじゃないかと思う。家族という呪いで何とか娘に巣食う狂気を押し込めようとした母親と、認められたいし愛されたい一心でもがいた結果ヴィラン覚醒してしまった娘という構図が愛の難しさを描いた作品に自分の中でなってしまった。今年観たラインナップならではのポジション付けな気がしている。引き攣った笑顔で涙する主人公の顔をいまだに思い出してゾッとする。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』もパールと近い、家族の呪いをこれでもかと盛り込んだ超絶不幸に怪異的な呪いもトッピングした「不幸のショット追加で希望は控え目で」というオーダーを誰が出して誰が提供したんだとエンドロールで名前を覚えなければと思ってしまうくらいの作品だった。不幸が人を歪ませて新たな不幸を作り出し、その不幸が大爆発した草も生えない跡地に希望が一つだけ残りましたみたいな内容を受けてオタクの皆さんが幸あれとネット上にハッピーなIFネタ漫画を投稿しまくってくれたことも含めて良い映画だったと思う。

君たちはどう生きるか』は何というか算数のテストの文章題の様な印象を受けた。物語として感情移入出来ない速度で心を閉じたり開いたりしていて間を読み切れない戸惑いに自分が負けてしまった気がした。エブエブと違って考える事に疲れてしまったのは単純に好みに合わなかったからなのかなと今は思っている。また何年かしたら印象も変わるのかな。

『アリスとテレスのまぼろし工場』は時が止まった街で1日を住人全員が繰り返すという話で、その残酷さが薄くなってしまった感情表現やら各々の役割を徹底する姿に感じられてかなり衝撃的だった。SPY×FAMILYのミュージカルでアーニャを演じている子役が毎日繰り返して知識と感性は成長を続けているのにずっとアーニャを演じられる姿のままでアーニャを演じ続けなければならない世界を思い浮かべてもらえたら「そりゃ感情も薄くなりますわな」と思う僕の気持ちが少しは伝わるんだろうか。

予告があまりにも幼女性爆弾でキツ過ぎて観るのをやめようかと悩んでいたんだけど、ミスリードが必要故にそうなったのかも知れない。あと主題歌はネタバレなので観る前に絶対聴いてはいけないと思う。

名探偵コナン 黒鉄の魚影』はベルトから射出されるボールの威力と依存度の高まりを感じさせてくれてスカッと派手で良かった。他の劇場版よりも犯人が分かりやすいかも知れない。SNSで誰かが「このボール20発撃ち込めば黒の組織潰せるのでは」と言っていたけど、本当にその通り過ぎて面白い。毎回誰かが素晴らしく格好良いからマジで凄い。コナンはこういうのが最高。

阪神タイガース THE MOVIE2023-栄光のAREー』はネタバレも何も過程もオチも全部知っているのに色んな場面でグッときてしまう妙な体験が出来たのが良かった。結局、物事を長期的に上手い方向へ動かしていく為には継続性なんだよなと改めて思い知らされる。地道さを大切に出来ない昨今(主語がデカ過ぎる)においてその心無い批判に晒されたりしたけど私は元気です的な、振り返られている今年だけでなく2年、3年、5年前くらいまでを思い出しながらそんな感じで観た。この作品で阪神はマジで優勝しているのでファンは観た方がいいと思う。

 


あとは映画ではないけど良かった映像作品について、ついでにここに加えておきたい。

『天国大魔境』『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『THE BOYS』『GEN V』『THE POWER』『進撃の巨人

 


こうして並べたものを引いて眺めてみると、人間関係の歪みで生じた不幸みたいなものに向き合えるかどうか的な視点で映画を選んでいるのではと勘繰ってしまう。

そういうものが好きなのか、今年はそういうものを欲していたのか、どちらにしてもそれを考えるのもちょっと嫌になるジャンルだなと思いつつ、その辺の解釈は数年後に読み返した自分がしてくれるのだろう、それが日記だろうと言うことで今年の自分はこれ以上考えないことにする。

 


またー。