性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

オークションで絵を買ったという報告日記。

青柳カヲルさんという好きな絵を描く人がオークション形式で毎日1枚作品を出品するという試みをされており、作品が素敵だったのとオークションを利用してみたいのとで入札に参加してみた。

 

売れなければ1日で出品を取り下げるとのことで、基本的に出回るのは1作品ずつ(数時間ダブることはあるけどそれでも2作品である)、その作品と全力で向き合って欲しいかどうか考える必要があり、こっちの本気を引き出してくれる感覚が楽しかった。素人なりに感性が研ぎ澄まされる。個別指導の塾の様な熱烈マンツーマン。

毎回欲しくなると思いきや、長い時間考えると本当にどんどん欲しくなる作品と競り負けても致し方なしという作品が出てくる。これは作品の優劣じゃなくて好みの問題なので誤解なき様に。

 

それを繰り返した結果として、これを書いている時点で2つの作品を落札することが出来た。1作品手に入れると、違う一面が欲しくなってしまい、もう1作品にもトライして落札することが出来た。

幸運もあるだろうけれど、この世で今、この作品を一番欲しがっているのは自分で、それが入札額という形で認められたという気持ちになれたのはとても嬉しい発見だった。

ちなみに最初に手に入れた作品は、自分の誕生日に描かれたもので、一目みた瞬間に「あーこの日っぽい、めっちゃこの日っぽい」という気持ちになりどうしても欲しくなってしまった。

自分の誕生日が得意な方ではないので自身を祝いたくて絵を買うというのは、やっちゃう?本当に?と何度も自問しながらの作業であった。

この絵があれば自分が生まれた日も斜に構えず過ごせるかも知れない。そんな気さえした。気の持ち様なんだけども、気の持ち様だからこそ。

そんな風にどうしても欲しかったので落札出来た時は興奮してスマホを床に落としてしまった。指が震えた。胸キュンLINEがブッ込まれた少コミのラブコメの登場人物かよ。

 

最近は仕事の休憩の度にオークションのアプリで入札に参加していない作品まで必ず動向を確認している。

そこで印象的だったのがアーティストがこれまで広く知られる様になったキッカケとも言える色合いの作品の入札件数が多く、入札額も高いことだった。

感覚的に言えばバンプと言えば天体観測アジカンと言えばリライトみたいなもので、そのアーティストが生み出した個性(と皆が思っているもの。特色とも言える)が強く現れている(と観て感じる)作品の方が人気なんだなーと動きを眺めていた。

そう言った自分がその人らしいと思える作品へ連想しやすいものが特に欲しくなるというのが凄く良くわかるので皆同じなんだなーと嬉しくなった。

子供の頃、万博公園近くの美術館でピカソのちんまりとした人物画を観て「こういう絵もあるんだ、でも超ピカソって感じのやつも観たいなー」と感じたのを思い出した。その写実的な人物画からは子供の頃の自分が抱く「超ピカソって感じ」は連想出来なかったのとそんなに遠い感覚ではない気がする。

今ならどっちもピカソだしそれぞれ良さがあるだろうと思うんだけど、当時はそうだった。

今回手に入った作品はどちらかというと超ピカソではないのかも知れない。でもパッと見た時に「この絵が家にあったらめっちゃ嬉しい」という作品が手に入って心から良かったと思う。

「絵が欲しい」「絵を飾りたい」という気持ちを芽生えさせてくれ、実行に移させてくれたアーティストの作品であるので喜びもひとしお。

 

加えて初めて買った絵である青柳さんの作品(デッサン画)は額縁まで付いた作品だったので、今回はもう1つの試練として額縁を買い、自分で整えるという工程を授けられた気分である。

欲しかった絵に自分の表現を加えるというレベルの行為だと思うので素人にはハードルが高い気もするけれど、新たに与えられた楽しみだと思い、あれやこれやとネットで似合いそうな額を探して購入し、絵と額がそれぞれ届くのを待った。

まずは絵の到着を待ち、額屋さんに持ち込もうと思っていたのだけれど「服を買いに行く服がない」という素人ならではっぽい症状に陥り、そんなんで額屋さんの門を潜ったら角で殴られ血を見るのではという敷居の高さを捏造することによる被害妄想に取り憑かれ、とりあえず自分なりに似合うんではないかと思われる額を手配した次第である。発想がダサい。芸術童貞のソレで初々しいと思って処理して欲しい。

 

偶然ではあるけれど、絵が届いた翌日に額が届いた。

届いた絵を見て、まず当然なのだけれど「これが自分のものになったのか」という感動が大きかった。

その後スマホの画面では気付かなかった細部のニュアンスや発色の魅力(明るさよりも暗さにえげつない差異がスマホと現物にはある)が追い打ちをかけてきた。

もっと色々印象や好きなポイントなど書きたいのだけれど、書くのも野暮だしどうせ生の絵をみて貰わないと伝わらないから控えることとする。でも、めっちゃ良い絵なんだよってことだけ聞いて欲しい。面倒な年頃である。

現物に触れ大事にしようと思う一方で、自分が選んだ額が果たしてこの絵を引き立ててくれるのか、いやもうこれそのまま壁に飾った方が絶対素敵だろ、なに磨きゼロの知識で調子乗って額用意しちゃってんのと不安になった。

ちなみに額は化粧台紙のあるものと、予備で化粧台のないポスター用のものを手配していた。

化粧台紙が何なのかすら今回まで知らなかったレベルの素人ではあるけれど、額と絵の間の余白を生む紙のことだよと同じ様な人は参考にして欲しい。

まじまじと現物を見て初めて知ったのだけれど、化粧台紙は絵の縁の断面が斜めになっており、絵が非常に際立つ様に出来ていた。普通の画用紙を切っただけだと思っていたので驚いた。地味ではあるけど、バーンと絵を前に出してくれるヤベェやつだ。破天荒な生徒会長をサラッとサポートしてしまう書記の様な存在だった。額もまたそうなのであるけれど、存在感的には副会長といったところか。

緊張しつつも額装を施したところ、なんということでしょう、愛おしさが倍増した。

大袈裟だし烏滸がましいのだけれど、この絵を世界一欲しかったのは僕で、この絵にどんな額が合うか一番考えたのもきっと僕なんである。それがしっくり来ないハズがない。めっちゃ似合う。めっちゃ似合うし絵をもっともっと大切に出来る気がした。

勿論、プロにあれこれ提案して貰うという更なる探求も楽しみではあるし(服を買いに行く為の服がない状態も脱した訳なので)、額屋さんに近いうちに持ち込んでみたいとも思うけれど、暫くはのんびりと眺めて過ごしたいという気分である。

 

何にしても一度成してしまうとやれば出来るという気持ちになってハードルが良い意味で下がった。

これからも本当に欲しい作品があったら迷わず手に入れられるよう、ちょっとした節約などを積み重ねて予算を確保しつつその時を、今回自分の元へやってきてくれた作品を眺めながら待ちたい。

 

またー。