EXPO 2025に行ってきた。
始まるまでも始まってからも、そして終わった後についても首を傾げたくなるような報道もあるけれど、もうこうなったら行ってみようと思った。
写真なんかは私的利用に限ると書いてあったので載せられないけど(Youtuberの皆さんどうなってんの?登録者全員友達ですってマインド?)良くも悪くも感じた事が色々あったのでダラダラと記録しておきたい。
【建造物がカッコイイ】
デカくてテーマ性の高い建築物って、もうそれだけでカッコイイ。
それがポツンと一軒、じゃなくて乱立しているので歩いているだけでも素晴らしく楽しかった。
国々が伝えたい事をモチーフにするかニュアンスにするか、もしくは連想出来る程の知識が受け手にあるかのバランスで理解度が変わってくるという意味で建築っていうのもやっぱり立派な芸術なんだなと思うし、そのへんすっ飛ばしてもデカくて独特な建物の存在感に圧倒されるだけでも楽しかった。
個人的にはチェコのパビリオンが建築としても建材としてもドストライクで、屋上の展望台からぐるりと周囲を眺められるのは有難く、大屋根リングからよりも良い景色だったと思う。
あとは港や航海を思わせるポルトガル館の縄とか、朝と夜で全く違う顔を見せられるベルギー館とか、皆の思っているポップさとデジタルを洗練されたデザインで使いこなすイメージにピッタリの韓国館とか、意外性よりも王道の良さを全面に押し出した英国館などが特に印象に残っている。
大屋根リングは当然だけど滅茶苦茶デカい。
遺すか潰すか論争は正直そんな一部だけ(しかもメンテがとんでもなさそうな水部分)なら大阪府民の負担にしてまで?という感じではあるんだけど、デカさの説得力は確かにあって、これが半年で無くなるのかとはちょっと思ってしまった。
【展示物はSDGsアートがメイン】
全パビリオンを観ている訳じゃないので一概には言えないけど、テーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」なのでそっちに振れた展示が多かった気がする。
独自パビリオンを建てている国には「私たちはこういう国です」という紹介フェーズを取っている国はほぼ無かった(コモンズに出展されている国はそういう感じが多かったけど)ので、ネット社会の浸透っぷりがそういう段階をすっ飛ばさせているのかなと思った。大体どういう国かは知ってはりますよね、というスタート。
だから高度で難解な医療を実現しています、ITの技術革新がここまで来ていますという「俺たちだって最先端行けてまっせ」という意味での「命と未来」の提示が多かった印象がある。
ちょうどNHKのスイッチインタビューという番組で数学者の先生が「難しい事を研究しているのでそれを簡単に言い表すのは難しい」という旨の伝えることが困難な情報を正しさを犠牲にしてまで噛み砕くのは誠実なのか否かという話をされていたのを思い出した。
結果として命(赤ちゃんと自然)と未来(医療技術)を絡めたアートのような表現が多かったので、そういう視点で各国かなり頭を捻って、その上で特色を出そうとしたんだろうなと感心しながら見学した。
見学出来たパビリオンの雑感は以下の通り。
<チェコ>
割と生活感たっぷりの描写を挟みつつ、宗教画ばりにメッセージを込めたシーンも含めて全てカートゥーン調というか、コミック調(レッドブルのCMみたいな線画)で語られていて尖っていた。レネという見慣れると可愛いキャラクターが3Dプリンターで製造されているコーナーがあり、「いのちは、つくれる!」という未来を勝手に感じた。
<オランダ>
水害を乗り越えて豊かさを確立した歴史を元に、その環境を皆で守っていくことで未来を創ろう!というコンセプト。研修などで即席一致団結!みたいなのが苦手な人には気恥ずかしいかも知れない。
ミッフィーの絵本サイズの可愛らしい説明が随所にあるが、字も絵本サイズなのでテーマの荘厳さとあまり混ざっておらず、「まず展示自体でもっとお互いを頼ってもいいのでは」と思ってしまった。
<トルクメニスタン>
情報統制を徹底する国の現在地。
観た中では一番「こう思われたいぜ!」という力強いアピールがあったと思う。
独裁国家あるあるで国内製造の製品(エンジンオイル、洗剤、食料品)などを並べる事で豊かさをアピールする手法が取られていたが、CPU、タブレット、ノートパソコンの何世代前の??という感じが不思議なグルーヴを醸し出していた。
皆が好奇の目で観ている姿を上手く編集し、トルクメニスタン国内でどう報じられているかにも興味が湧いた。
<アイルランド>
自然豊かな緑と水の柔らかさが伝わる屋内型展示で、喧騒を忘れられる落ち着いたパビリオンだった。ハープに触れたのがかなり嬉しかった。
<アゼルバイジャン>
列に並んで入るまでの壁材のモチーフと「7人の美女」モチーフの像のパンチが強く、スクリーンが見にくいので入るまでで十分イメージが伝わるという印象だった。
<ルーマニア>
完全入れ替え制なので確実に並ぶが、個人的には一番好きだった。
先進医療についての功績と挑戦の読ませる気がないアートに振ったコンセプチュアルな映像の後、ピアノの生演奏(これが弦楽器四重奏やアカペラ、ギターとベースのデュオの回もあるらしい)を堪能して、伝統工芸の職人さんの作業が見学出来るという構成で面白かった。
演奏が良過ぎたので別の回も観たいと思ったし、ここにリピートする為に通う人もいるだろうなと思った。
<ハンガリー>
こちらも完全入れ替え制の生歌付きの展示で格好良かった。
入れ替え待ちの説明をしてくれるハンガリー人のスタッフさんが日本語でちゃんとウケを取っているのが凄過ぎて、英語ですらそんなこと出来ねぇと打ちひしがれた。
歌は日本の歌唱法とはまた違って、シンガロングに誘われるパートもあるんだけど普段聞き慣れないテンポと音割りなので苦戦しつつ楽しかった。
何かを一緒に経験すると身近に感じると再認識。
<フランス>
潔いまでに「フランスの美学の結晶=ハイブランドをどうぞ!」で単純に美しかった。
ルイヴィトンの路面店が自我を持ってバッキバキに拡張した世界観と、見損ねたDior展の再構築みたいなコーナーが「人の手が創り出す美」を置いてけぼりにするくらいのインパクトで笑ってしまった。
その「人の手」を印象付ける様にオーギュスト・ロダンの手の彫刻がアイキャッチ的に配置されていたんだけど、あまりに派手な後にこっそり置かれているので大半の人が通り過ぎていた。フランスが想定してくれていたよりも日本人の侘び寂びは薄まってしまったのかも知れない。勿体無さすぎた。
<チュニジア>
高速で360度飛び交うお面の映像が海外のクレイアニメみたいで面白かった。
国の花である(らしい)ジャスミンの香りが薄っすら漂っていた。
【飲食物】
折角なので海外の食べ物が良かったがレストランに並ぶ気力はないという贅沢で堕落した人間なので、パビリオンのテイクアウトのみで1日過ごしたら1万円かかったが、全部美味しかった。
マルタではハード系のパンを使ったサンドと缶ビール、イエメンでは軽さが売りのはずのパイがズッシリ重くなる程シロップに漬けた甘味、チュニジアではクスクスとアラブコーヒー、ポルトガルではマスタードが利いた豚肉のサンドとポタージュっぽいのに葉野菜の入ったスープ、豆とオリーブと白身魚をあえた前菜を食べた。
ポルトガルのエッグタルトが目の前で売り切れてしまったのだけが悔やまれるが、食べられた料理自体が自分で売り切れたのでまだ幸運だったと思う。
食べた中ではチュニジア館のカフェで食べたクスクスが一番好きだった。
クスクスを上手く調理出来た経験がないし、外食の場で冷製以外で食べる機会も無かったので「温かくて美味しく調理されているクスクス」というだけでも良かったが、付け合わせ3種類も鶏肉やブロッコリー、玉ねぎなどお馴染みの材料が知らない味や食感になっていて凄く楽しかった。
そんな感じで「知らない食べ物!」というよりは「知っている食材を知らない調理法で美味しく食べている!!」という衝撃があったので、普段自炊する人程、海外パビリオンの食べ物が新鮮で楽しめると思う。
観光も兼ねて来ている人にはお好み焼きとかたこ焼きとかもアリなんだろうけど、予算を割けるのであれば、やる気さえあればいつでも食べられる国内の食べ物で済ませるのは勿体無いのではと感じた。
とは言え、家族連れやそこに興味のない人に対してコンビニを用意しているのは天才。この万博で一番気が利いているポイントだと普通に思うので凄く良い事だと感じた。
【その他】
特にコモンズのスタッフさんに顕著だったんだけど、普通にデスクワークを黙々としていてお祭りの中にあって日常という感じが良かった(聞いたらちゃんと教えてくれるし)、日本人のスタッフさんがにこやかに積極対応してくれるのを見ると有難い反面「ここまで頑張らんでも良いのかもなぁ」と働くという事に対して根本的に考えてしまった。
どの国のパビリオンのスタッフさんもゆとりを持って、過剰に感情表現するでもなく働いていて、無理に笑ったりしなくても親切さは伝わってくるし、スマホ触ったり雑談していてもやる事をキチンとこなしてくれるし、日本の日常もこういうので良くなっていって欲しいなとしみじみ感じた。
あとは皆普通に並ぶものと処理しているので「並ばない万博」なんて意味不明な目標設定はしない方が良かったんじゃないかと思ったくらいだろうか。入らなくても楽しめるという人も多いのではと周囲の空気感から感じたので、そのぶち上げに足を引っ張られているのも勿体無い。
個人的には再訪したいかと言われると、中に入れなかった海外パビリオンでイタリア館にチャレンジしたい気持ちもあるので機会があればという感じだろうか。
大阪府民としては1円でも売り上げが増えて税負担を1円でも下げられる方向が望ましいので沢山の人に行って欲しいけど、内容的にはかなり建築・現代アート(映像部門)寄りなので誰にでも勧められる感じではないと思っている。
あとは海外の食文化に興味がある人だろうか。かなりの値段設定だけど、現地に行くよりは確実に安いし。
社会人生活をしていると今回の万博を(というか運営を)敵視している人にエンカウントすることがあるので、そういう意味でも勧めるかどうかに一度判断を要するのが面倒なところ。
御朱印集め(いつも御朱印ってそういうものでしたっけ?となるが)、スタンプラリーなど収集癖のある人には強くお勧めしたい。実際、列に並ばずにスタンプだけ押したいんですけど・・・みたいなこちらからすると本末転倒な、とは言え確実に目的を持って楽しんでいる人もいたのでそう感じている。
何にしても、まだまだ色々あるんだけどこの辺で。
またー。