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性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

2016年に「ホイッスル!」を読み返した雑感日記。

原画展や舞台化の情報を目の当たりにし、僕の中のホイッスル!熱が高らかに鳴り響いてしまい、華の金曜日だというのに深夜3時半までぶっ通しで読み返してしまった。

ホイッスル!は少年ジャンプで1998年から2002年まで連載されたサッカー漫画で、どちらかというとリアル路線で非常に爽やかな作風の為、とんでもなく人気作とは言い難いものの、こうして若い読者が無事に金蔓へと成長するまで根強い人気を誇っている名作だ。

僕も野球部だったにも関わらず熱心なホイッスル!読者で、この作品の影響でサッカー部の練習に混ぜて貰い1日で逃げ出したほろ苦い思い出もある。走りながらボール蹴るとかマジで凄いわと思った。連載当時、キャラクターと同級生だったりしたのも大きかったかも知れない。

で、今回せっかく全24巻を読み返したので個人的なオススメポイントなどを簡単に書こうと思う。

内容上どうしてもネタバレを含むので、ネタバレに対して嫌悪感を覚える方、または自分以外の解釈に激しい拒否反応を覚える方はここで読むのをやめることをお勧めどころかお願いします。

 

さて、今回も長くなりそうなのでちゃっちゃとやろう。

今回は、

1.あらすじと世界観

2.好きなキャラクターについて

3.全巻レビュー

の三部構成でホイッスル!の個人的に魅力だと思っている部分をアピールしていこうと思う。巻きでいきます。

 

<1.あらすじと世界観>

日韓ワールドカップ前の日本が舞台。

ベッカムヘアも流行ってないし、フラットスリーが最先端の戦術として紹介されている頃だ。

サッカーの強豪校・武蔵森学園の分厚い選手層の壁や先輩によるしごきなどに疲れ、無名校・桜上水中へ転校したFW風祭将が、なんやかんやチームメイトと心通わせながらステップアップしていく、という内容。

桜上水中は風祭くんの直向きさに引っ張られる様にチームとしての完成度を上げ、そこそこの成績を勝ち取るまでに成長する。

その成長過程はファンタジーを微量に含みながらも圧倒的にリアル路線で、例えば「足が速いからウイング」ではなく「足は速いが視野が狭いという能力を持った選手が活きるのはウイング」というポジション選定方法だったり、急に能力が覚醒したりはしないし、全ては練習の中で身に付けていくというもの。死を覚悟する特訓で分裂魔球を習得するのとは別のドラマチックさがある。地に足着いた根性論のような。

そして学校のサッカー部が参加する大会はそこそこに、地区の選抜編を経て韓国遠征、全国の選抜との対戦などを描く姿勢がまた妙にリアル。友情もありつつ、純然とした勝ち負けの厳しさも描かれている。

要するに寄せ集めのメンバーが全員スーパーな才能を秘めていて、それを活かして全国制覇とはならず、試験を突破した才能が集う場で更に実力をつけていくのがホイッスル!の世界のリアルさの根源と言える。

 

<2.好きなキャラクターについて>

基本的に登場人物が大体中学生なので心が揺れまくっており、それを理解ある大人が過度に干渉せず見守っている。そりゃエヴァに乗れるくらいの年齢の子供たちがチームプレーをするのだから内外共に問題はあるだろう。

生い立ち、プライド、コンプレックスに揺れるキャラクターが多く、そういうキャラクターが特に魅力的に描かれている。

特にイケメンかつクールな様でいてガチ思春期な反抗期を謳歌する天才MF水野くんと、名門・武蔵森の10番を背負いながらその水野くんにやたら怯える性格が歪んだ三上先輩、日常の孤独をユースのプライドで癒しナイーブ純粋培養で育った真田、スペックが1人だけテニスの王子様で目つきは地獄先生ぬ〜べ〜なのにいつも家庭の事情で苦悩している天城など、挙げれば他にもいるのだけれど、そんな感じでメンタルに難のある選手が多い。繊細だ。だからこそ彼らがそれを乗り越えて活躍する姿により心を打たれる。

その中でも東京選抜の選考から登場したタレ目で淡い栗色の髪をした小柄な少年、杉原多紀が一番好きだ。

杉原の抱えるコンプレックスは先述のソレとは別の意味で複雑ながらサラッとしか触れられておらず、本編よりも今僕が書こうとしている文章の方がぶっちぎりで長くなるだろう。

まず杉原は身体的なコンプレックス(低身長と低体重、基礎体力不足)でユースチームについていけず退団しており、このユースチームに所属し、順調に活躍して都選抜に選ばれた同じMFの郭英士に並々ならぬ対抗心を抱いている。

正確なコントロールという技術を持ちながら、身体的な弱さで負けて退団し、中学の部活から都選抜に選ばれ、ようやく英士と競うステージに到達。ただ、その英士は韓国の未来を担う逸材と言われる従兄弟李潤慶の背中ばかり追っているという、ちょっとした恋愛ドラマよりも厄介な、潤慶←英士←杉原というダブルで片想いの様な構図になっており、ちょっとしたハチミツとクローバーと化している。

そんな状態で徹底的に鍛え上げられた杉原は穏やかなフリをしながらもかなり攻撃的でメンタルが強く、長いパスをガンガン通したり、角度のないフリーキックを直接ゴールに叩き込んだり、挙句かなり距離がある場所から都選抜の選手3人を囮に浮き玉で直接ゴールを狙ったり(惜しくもノーゴール)と滅茶苦茶自分のプレイに自信を持っているし、決して心も折れない。逆境で生きる事がデフォルトになってしまっているとんでもないキャラクターなのだ。

それなのに作中全然目立たないし、読者同士の会話になった場合にも「で、それってfor誰?」とBase Ball Bear的な空気感となってしまっている。主な原因については、恐らく原作最終戦の後半から登場した関西選抜の吉住(同じくヒョロヒョロのタレ目というビジュアル)がファーストタッチでセンターサークルからあわやゴールというプレイを魅せ、その後もロングパスをガンガン通したせいで杉原の印象が消えてしまったのではと睨んでいる。実は吉住が活躍しているのは1話だけなのだけれど、これがクライマックスの終盤という事もあり、読者の杉原というファイルが吉住に上書き保存されてしまっているというのが僕の考えであり、よって僕は吉住が気に食わない。

杉原の功績、キャラクターとしての深みが世間的になかった事にされている様で悔しいし、そもそもリアルタイムで読んでいた際には英士とチームメイトになっただけで杉原の中で決着がついているのかも描かれていない気がしたし、杉原がどう折り合いをつけているかも今回読み返しても明確には解らなかった。

当時の僕は、これがあまりに納得がいかず、怒りに突き動かされてしまった結果、僕は杉原が英士に認められるまでを描いたショートストーリーを執筆するに至る。

その作中で杉原は相手に触れされる事でオウンゴールを誘発する強烈な回転をかけたボールを蹴れる様に魔改造を施され、ある意味これはセカンドレイプ的な行為なのではないかと思いながらも、どうしても杉原が英士に勝ち、認められて欲しいという願望から最終的に杉原の魔球で英士がオウンゴールを犯すというオチをつけた。今思えばむしろ英士が可哀想な気もするが、英士は英士で片想いメンタルが半端なく強いのできっと大丈夫だろう。

改めて読み返してみると、選抜試験で英士が杉原に対して「やってくれる」と心の中で呟くというシーンがあり、それ自体はリアルタイムでも気付いていたのだけれど、それで杉原を認めたというでは僕の納得がいかなかった。言え、直接杉原を評価しろと思っていた。

ただ今回読み返すとその後のフリーキックの場面で杉原とアイコンタクトを取った上で決めた英士が笑顔で喜んでいたのに気付いた。これは杉原に対する答えだ。彼は杉原を認めているのだと納得出来た。

杉原がそれを受け取ったかは実際は不明だけれど、杉原の洗練された人格は盲目的になってしまう僕と違いきっとキャッチしただろう。

改めて杉原に触れると彼のアダルトチルドレンっぷりに今度は彼が教師夫婦の間に生まれた子供なのではないか、厳格な祖父母の元で育てられたのではないかなど、また別の種類の地獄の蓋が開いてしまいそうでこれ以上考える事を封印すべきだとの結論に達した。

そんな訳で僕の好きなキャラクター、杉原多紀をどうかホイッスル!を読み返すまたは読む機会に恵まれた方は思い出して欲しい。

杉原は確かに、そこで生きているのだ。

 

<3.全巻レビュー>

ここでは主に各巻の個人的な見所を簡単に紹介していこうと思う。是非何らかの参考にして欲しい。

(1巻)

 桜上水のチームメイト高井・花沢・古賀が練習を通じて風祭に引っ張られ、彼を認めていく描写が熱い。三人も風祭に負けじと努力する姿が風祭の熱さをより引き立てる。

(2巻)

水野くんがボールを見ないで背後から飛んできたボールかわすという本筋に全く影響しないスーパープレーを見せた後、こいつで集中とウォークマンで音楽を聴く場面が最高。コミックス巻末のオマケコーナーではB’zラルクを聴いていると公式に回答されていたが、隠れてLOVE2000を聴いているのではと僕は邪推している。 

(3巻)

武蔵森時代の親友、トモユキが風祭のレガースに書いた「If you can dream you can do it!願えばかなう!!」(原文ママ)の文字に感動したし、読めば皆(原文ママ)とここに書きたくなる気持ちが解る。

(4巻)

タツボンの小姑

(5巻)

1人だけキャプテン翼こと天城のゴールポストが浮く強烈シュート。その強烈さを引き立てる2ページ3コマ構成で描かれるダーリンダーリン色んな角度から不破を見てきたが強烈。

因みにボールを受けてシュートの流れで13ページ使っているのは風祭を除けば天城が後にも先にも最後である。

(6巻)

俺に3度目は効かん!!

(7巻)

桜上水の対戦相手の岩工の面々が持ち味の堅守を捨てて前に出る姿が涙腺にくる。

(8巻)

三上先輩と水野によるメンタルメルトダウン祭。

(9巻)

風祭伝説のリフティングドリブル。

1話分のページ数を費やすも、実はゴールは決まっていないというのは忘れがちなポイント。ただ、決まっていないからこその衝撃が凄まじく、ホイッスル!屈指の名場面と言える。

(10巻)

偵察にテスト勉強そっちのけで同行したがる風祭に対する水野の「ったくしょーがねえな、来いよ」のデレ顔。

(11巻)

風祭とシゲのPKを巡る闘いが色々感情渦巻いて読むのが毎度辛い。

(12巻)

杉原が最高。

(13巻)

鳴海に風祭が挑む姿。

(14巻)

設楽(カレ)はこぼれ球に強い。

ユース3人組のいちゃいちゃ。

何より杉原が最高。

(15巻)

杉原と英士が最高。

(16巻)

水野と風祭の交代劇による水野メンタル劇場。

(17巻)

ソウルにはあいつがいる!

杉原と英士が最高。

(18巻)

 もっと挑戦しろ(あそべ)よ、水野。

(19巻)

英士が最高。

あれ?もしかして滅茶苦茶英士のこと好きなんじゃね?とこれを書きながら感じている。

(20巻)

杉原が最高。

活躍のピークで僕の中では事実上の最終巻。

(21巻)

表紙のイレブンにFW登録の選手が多過ぎるのと何故かそこにいるイガ選手。

(22巻)

風の味方の仕方。

(23巻)

水野メンタル劇場

(24巻)

番外編の風祭がマジで泣ける。

風祭に何かを変えられたチームメイトたちのメッセージ入りのボールを何かにぶつかる度に練習した高架下で蹴り、怪我で何も上手く出来ない自分に打ちのめされる描写を経て、同じボールを使って笑顔で終わるという流れがヤバイ

天城の妹の遅れてやってきた圧倒的ヒロイン感もヤバイ

 

ヤフコメ欄に日本代表の悪口を書いている暇があったら、もしくはコメント欄に自分の意見を探して安心している時間があるならホイッスル!を読んでサッカーって良いなぁという気持ちになりながら、日本代表を信じて応援した方が有意義ではなかろうか。

有意義じゃない可能性もあるけれど、まあとりあえずホイッスル!を読んで欲しい。話はそれからだ、ということで。

当初はここに杉原のSSを再現しようと思っていたのだけれど、何を書いても変にまとめようとしてしまうので諦めた。

小さくまとまってはいけないのだ。

 

またー。