性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

世界の大温泉というより世界観の大銭湯。

大阪に生まれ育って30年以上。

アラサーの周回軌道、重力から解き放たれアラフォーのそれに引き寄せられていく己の運命が目と鼻の先に迫っている様。orbital period(全然違う)。ハンマーソングと痛みの塔。かさぶたぶたぶかさぶた(かさぶた)。片想いのように、年金のことが過ぎる。

大阪において、そんな感じで長いこと生きながらえてきた僕ではあるけれど、新世界に確かに存在し続けるスーパーを超越するモンスター銭湯ことスパワールドには一度も行ったことがなかった。

この度、東京から泊まりに来た無計画な友人と、宿として迎え入れた無計画なこちらとでマジでやる事も行く先も予定しておらず、アニメ「キルラキル」を見たりマクドナルドのデリバリーをモソモソ食べるなどしながら無理矢理予定を捏造、行き先を捻出した結果、スパワールドに行って来た。対抗馬としてUSJが候補にあったものの満喫出来る気がしなかったので「もう風呂入ろうや」という感じでスパワールドに決まった。無気力が有利、怠惰の勝利。

2種類あるコンセプトは月替わりで男女入れ替え制とのことで、10月度は男湯がヨーロッパゾーン、女湯がアジアゾーンであった。

だだっ広いフロアにだだっ広い風呂がボンボンっと配置され、漫画でもそろそろ採用しなさそうなくらいにコテコテのヨーロッパ要素が若干チープな装飾にて再現されていて絶妙な気怠さ、最適であり適当な安心感が得られる空間となっていた。

ローマをモチーフにした風呂では湯質の説明も一切なく、まさかのローマの歴史のみが看板に記載され、アニマルセラピーの説明の最後には「だから水槽の魚で癒されてくれ」と力技で無理矢理繋がれ、スペインの広場をモチーフにされたという謎の露天風呂と滝湯などガバガバっぷりは困惑を呆気なく通り過ぎて好感だけを僕らの中に植え付けた。

一番良かったのは全裸で足湯につかりながらテレビをぼんやり眺めてビールが飲めるスポットであった。足湯やビール、テレビなど庶民の贅沢要素を思いつきでぶちこんで生成された贅沢のキメラはこんなに気怠くも微かな背徳感があり最高であった。普通に生活していて足湯につかりながら全裸でビール飲みたいなぁ、なんて願望は抱き様もないことを考えると、想像の外側からの新提案に違いなく、そのプレゼンに陥落してしまった我々は、決して閉じることのない新たな欲望の扉を開いてしまった敗者であると痛感すると共に先に述べた通り背徳感もまた欲においては旨味である為、大変満足するに至った。知らずにおけばそれはそれで幸せだったことがまた1つ増えてしまった。業が深い。

その売店で「世界の水」という名のついたペットボトルのミネラルウォーターが販売されており、国内の水とペリエコントレックスが選択可能という名前に負けないガバガバな選択肢で笑ってしまった。女湯ならまだしも男湯でペリエだのコントレックスだのが売れるのだろうか。完全な偏見で申し訳ないが、世の男性が知っているミネラルウォーターはクリスタルガイザーいろはすと六甲の天然水だけなんじゃないか。エビアンすら知らないのではないだろうか。売れ筋が気になった。

ビールを飲み始めた頃、ちょうど放送されていたサッカーのルヴァン杯の決勝戦が物凄く盛り上がっていて目が釘付けになり応援に力が入った。凄く良い試合なのに全裸で応援してごめんな。

その後、タイ式マッサージを受けるなど、贅沢を更に拍車を掛けてリラクゼーションのラストスパートを掛け、最終的に何故だかプリクラを撮り、よく行くお店で美味しいものをたらふく飲み食いした。

そんな感じで珍しく心身共にご機嫌を取ってやったので、コロッと騙されてまた一週間せいぜい俺の為に働いてくれやと己にほくそ笑んだ。

 

またー。