性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

サンリオピューロランド、大森靖子と整う会、さいあくななちゃんにエネルギーを貰う土日旅行。

サンリオピューロランドに行った。それも、数年前のゴールデンウィークカンボジアへ行った5人、という形態である。
全員が体調不良の中、乗り換えを待つベトナムの空港で平成から令和へ変わる瞬間を迎えた、愛すべき狂った奴らである。
楽しいに決まってはいたけれど、それはその交友関係が楽しいに決まっているのであり、ピューロランドは正直言って添え物、ハズレでも一緒に遊ぶ口実として成り立ってくれれば100点、みたいな舐めた気持ちもあったが、実際はピューロランド自体が500点くらいの楽しさだった。
可愛さが溢れていて、何と言うか全部にちゃんとワクワクさせられてしまった。
こんなに魅力に溢れているのに5時に閉園という神社仏閣と同じ開門時間でよくもまあ革命運動が起きず維持できているな、可愛いの癒しが如何に平和に寄与しているかに畏敬の念を抱く。可愛いの前で争うなどそう出来る事ではない。
ごった返したフードコートで参加者の誕生日をささやかに祝い、メルヘン工房というネームプレートや名前入りのキーホルダーを作れるコーナーの長蛇の列に並んだり、想像の遥か上をいくクオリティーのショーを観たりしているうちにあっという間に時間が溶けた。
ポムポムプリンの耳のカチューシャをつけた自分のにやけ切った写真を見ると何と言うか非常に恥ずかしいのだけれど、まあ、こういう顔が出来る余地がまだまだあるのだと思うと普段の張り詰めた日々もまた少し続けていけそうな気がすると思える。
どうなんだろうか、実のところ人生はいつでも未定ではあるけれど確実に何かが充電された。
夜は横浜の飲み屋街でしっかり2次会まで堪能した。結局飲むんかい、という感じである。

旅先でしかしない寝る直前にカップ麺という不良ムーブをしっかりかまして、それでも日付が変わる前には就寝した。


海岸沿いの景色の良さが売りのホテルだと言う事で、カーテンを開けて外を眺めて優雅な朝の時間を過ごすつもりが、いつもビジネスホテルでやってしまうようにコンビニでおにぎりとサラダとお味噌汁を買い、黙々と食べ、カーテンは一度も開かずにチェックアウトしてしまった。
たまたま前日の新幹線で西加奈子さんの食に関するエッセイをまとめた文庫「ごはんぐるり」を読んでいて「旅先の悪食」というテーマの話において、旅先で普段のコンビニのものやパーキングエリアの食べ物をついつい食べてしまうという風に書かれていて、それを旅先で実行した上に見所を一つ自分から手放してしまったんだなと移動中にぼんやり考えた。
良い天気だったし、景色も素敵だったんだろうな。勿体無い。
移動中は吉住さんのラジオを聴いていた。
ふと、吉住さんがこれを収録した東京にいるのだなと不思議な感覚になった。ネタを観た回数よりもラジオを聴いた回数の方が多いかも知れないのに大好きなのは何だか申し訳ない。


横浜から池袋の手前まで、複数の路線に一本の電車で乗り入れながら進みながら、東京は広いんだなと改めて思った。生活の街、ビジネス街、繁華街を何度も経由していて、それも大阪だったらビジネス街なのにとか、繁華街なのに程度の捉え方の街もあっただろうし。こんな事を言われても失礼だなと思われるかも知れないけれど、この規模での暮らしを当たり前に出来ている人たちが皆凄いし偉いなと思った。


目的地の椿山荘は池袋の間近にあるとは思えない自然豊かさと静寂に満ちていて、高低差の魔力は視覚以外にもかなり大きな要素なのだなと思うと共に、あまりの豪華さにクラクラしてしまった。歩くだけで豊かな気持ちになれる。草むらに蛇が住んでいて、まさか中学生の頃に地元で見て以来の野生の蛇に東京で遭遇するとは思わなかった。
大森靖子さんの「大森靖子と整う会」に5人で出席した。
僕だけが10年、基本的にライブしか観ていないので大森さんと話したりする機会がほぼないのもあり、何だか大層な所に来てしまったなぁ、と思いながら美味しいアフタヌーンティーをモリモリ食べていた。
何となく、楽曲やライブと対話(というか一方的に受け取って延々と心の中で語りかけているだけ)しているのでご本人に言える事もそんなにないのだけれど、いざ目の前で喋りかけて貰うと頭が真っ白になる。大森靖子さん、生きて実在してるんだなと思ったし、とは言え楽曲やライブを受けていつも返す言葉である「頑張ります!」しかやっぱり言えず、具体例がないと会話にならんと「マンションの理事頑張ります!」と言った。
大森さんは「PTA会長にちょっと似てる」とか「圧を出していきましょう」みたいな事を言ってくれて、無事に「理事会で圧を出して頑張る」という具体的な目標が爆誕した。
「圧をかけて頑張る」という事を忘れない様に腕を組んで見下ろす感じのラーメン屋みたいなポーズでチェキを撮って頂いた時に「優しいから圧向いてない、頑張って」と言う風に声をかけてくれて、何というか、やっぱり頑張りたいなと思った。無理をするとかじゃなくて。
作品を受けて自分の感じた事を全部放り込んで出てきた言葉が「頑張ります!」だったし、それをいざ本人を前にしても同じく「頑張ります!」だったのは自分自身にもブレが無い気がして少し誇らしかった。
皆、それぞれの方法と距離感で何かを整えているのだろうと思うし、とても好きな文章を書く方がTwitterで整った結果としてご自身に残る語彙が「ありがとうございます」だった、という事を呟かれているのを見かけて、それも素敵な関係だなと思った。
僕は優し過ぎるし真面目過ぎるし生きると言う意味では今のところ何でも出来過ぎるし頑張り過ぎるんだけど(自慢でなくて自虐として)、それでも「頑張ります!」と言いたくなるのは、そういう事から義務感やら責任感をさっ引いた不幸な自己犠牲の領域に踏み込む前にブレーキを掛けられるようになりたいからに他ならず、「(自分の意思の範疇で)頑張ります!」が実現出来る様にという願いを込めている。
僕が大森さんから一番沢山受け取ってきたものは、自己肯定感とか承認欲求ではなく、いつも思う事を主張していく勇気なのだと思う。


その後、タクシーと電車を乗り継いで渋谷へ移動し、ミヤシタパークにさいあくななちゃんの個展を観に行った。
ミヤシタパークはYouTubeが何基準で勧めてくるのか解らないオススメで知らないYouTuberがよく動画を撮っているなぁと思っていたスポットである。
現地を体感して尚「動画の中の世界だ」という感慨があり、最新鋭のデザインの具現化とあちこちで若者がたむろするのを撃退するモスキートーン音が鳴り響く様はデザイナーズ物件のディストピア、文字だけであれば最寄りは天国大魔境みたいなスポットで刺激的だった。ほぼ地獄ってこと?
フクロウを複数羽と放し飼いの犬を連れた人とすれ違い、人には見えてはいけない存在が見えているのかと思ったし、「フクロウと放し飼いの犬」というフレーズはthe cabsやTHE NOVEMBERSのコピバンがバンド名として採用しそうな響きで満更ではなかった。
さいあくななちゃんの個展は圧倒的な熱量と物量と情報量で本当に素晴らしく、美しいんだけど本当にやっぱり、ずっと怒ってるなーと思っていて、その怒りや反骨があまりに眩しくて、エネルギーに押し切られた。色んな素敵なものを次々と観てきた土日の終わりに更にこんな美しさに触れられて幸せだった。
ピンクや淡い色の作品の中に沈んでいくような真っ黒な作品があり、それに特に心を惹かれた。
信じる事と現実のギャップを何故だ、こっちを見ろ、と手を動かし続けるさいあくななちゃんに強い憧れと、やっぱり「頑張ります!」と思った。
僕はさいあくななちゃんにも大森さんと同じものを見出している。
全然違うのに、同じ琴線に触れているのだと思う。
何にしても同じ日にそれぞれを体感出来るなんて、答え合わせとしては出来過ぎだと思う。本当に有難い。


その後、展示で待ち合わせた友人と合流し、ミヤシタパーク内のバルに入ってみるとテラス席に通された。
チャイナブルーのグラスにトニックウォーターの缶をぶっ刺され、机にトニックウォーターを溢れさせるという謎の演出。
シャッターチャンスですよ!と店員さんにそれを放置され、通行人に「こいつら何食べ物で遊んでんの?溢れてんじゃん」という様な目で見られるという「これが渋谷の洗礼か…」となる一見ドッキリかと思うほどのオシャレ演出に衝撃を受けた。
思わず自分たちのおしぼりを犠牲にして机拭いてたら後から布巾を持ってきてくれたので、完全に自分達で溢してしまった人たちが店員さんに片付けて貰っている構図的に爆誕してしまって気は不味かったが、食べ物は美味しかった。
麩菓子にレバーパテとフィグを乗せたものは甘さとレバーの濃厚さがマッチして面白かった。
そんな風に、慣れない緊張感にボコボコにされながらも美味しかったので、きちんと美味しいと太鼓判を押したい。
向き不向きで言えば僕には圧倒的に向いていないが、観光としては120点の新鮮な体験であった。
友人と展示含めて2時間弱の交遊でも会えて良かったと思う。


帰りの新幹線でボーっとしていたら、名古屋についていた。
いつも名古屋から乗車してくる人たちの歩行速度が速い気がすると思っていたけれど、確認のために眺めているとやはり尋常じゃなく速い(気がする)。
何故か他の駅で乗車してくるお客さんたちより歩くのが速い(気がする)ので、名古屋の地を踏むと一定期間歩行速度が上がるのではないだろうか、という疑念を改めて抱く。
どうなんだろう、というより何故なんだろう?という思いが強いくらいには確信を持っている。何故だかは解らないけれども。
その後、新大阪からは躊躇いなくタクシーで家を目指した。
旅行中は体力が命だし、そもそも体力=命というゲームのパラメーター故に体力を温存する為にこの旅行でタクシーを3度利用した。
観光というのは歩き回ると同義なので、そういう手段で温存した所で1万歩以上は歩く事になる。
こういう為に頑張って働いているので、その自分に報いてあげられる遣い方が出来て偉いと自身を褒めてあげたい。


そんな感じで濃密で大ボリュームの土日を過ごしたので、また次のセーブポイントまで「頑張ります!」という事で。


またー。