性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

気付かなかった角やドアを教えてくれる体験は貴重かも知れないと言いたいだけの日記。

尾崎世界観さんがラジオで「本にはアート期がある」という、平たく言うと積読仕方ないよね発言をされていて、アート期という言葉の選び方はポジティブでいいなと思いつつ、その飾るとかモロ積読のソレとして寝かせるみたいな事があまり出来ない気質で、経験値や知識が足りずに思ったより難易度が高い場合にも時間を置くなどが出来ずに苦しい思いをしながら何とか読み切るという、スポーツ強豪校の食トレみたいな修行めいた読書を自分に課してしまう事がある。誰にもそんな事は求められていないのに。興味があるから買ったのだし、読めるはずだという根拠としては弱い思い込みで突っ切ろうとする自滅根性。著者や本そのものからも「また今度読んだらいいでしょうが…」と思われそう。
古本が苦手なので新品で買うのだけれど、何と言うか正規の値段で買ったものなんだから頑張らねば!みたいな気持ちもあって、全てが悪循環な気がしている。
とは言え9割5分は身の丈にあった本を選んでいるので子供がカッコつけて無理してコーヒー飲むみたいな、そう言う事が一生出来る世界が読書なのだとしたら、それはそれで素敵な事ですよねと、これもまあ尾崎世界観さん的なポジティブな言い訳。
クリープハイプは本の匂いやら映画の予告みたいな情景が見える曲が多くて定期的にドカ聴き(ドカ食いみたいな)している。
本にも音楽にも、あと映画にもお世話になりつつ、少しずつ自分の価値観を肯定したり疑ったり付け足したり差っ引いたりする作業は中々凄い作業な気がする。
今は脳科学者の方のお母様が認知症を発症されて、脳科学者としてどう向き合うか、という本を読んでいる。これも将来の可能性とかでなく、単純に興味本位で購入してしまっているんだけど、そういう本を読んだ事が記憶の端にあるかないかでその時に身動きが取れるかどうか違う気がしていて、アンテナに引っ掛かったからには引き出しを用意して突っ込めていたら良いなと思う。
それが解決法でなくても良くて、何というか「ああいう世界が来たのか?」と感じられるだけでも大分価値があると思うので。


それはそうと映画「アステロイドシティ」をようやく観たんだけど滅茶苦茶面白かった。
相変わらず「難解なものは簡単に見える」という、易しさにはあまり配慮していない設定(そもそも単体の物語でいけたものをそれがテレビ番組のドラマですという二重構造で描いているというのが難し過ぎる)なのだけれど、割ととんでもない事が起こっている筈なのに妙に呑気なのを当たり前に受け止められるのは「ドラマを演じている人たちだもんな」で済ませられるからなのかな、と思っていた。
核実験やら、どう考えても新たな軍事転用技術コンテストやら、情報統制やら、宇宙人やら、エリア51ばりの殺伐さをギャグ用のフックとして当たり前に利用してるのはその二重構造あってこそまろやかなギャグとして通じてるのかな、と思う。
エリア51でこんなことが、にするにはあまりに直接的なのかなぁ、なんて事も考えながら。
語り部のセリフ的にそれ以上の意味を見出せると思うけど、一回観ただけでは自分には難しかった。
何にしてもパステルの色彩とおしゃれな衣装(衣装協力がエルメスなど錚々たるブランド…ポロシャツやらシャツの襟元美し過ぎたもんな)がサラッと満載で目の保養になったし、多様なキャラクターが会話しているのもテンポが良くて楽しいし、皆とても優秀だけど何か不器用で、そこもまた現実味がない吹っ切れ方しているのにきちんと親近感があって良い。
多分、この人はどんな人だろうと考えながら映画を観る人にはとても楽しいだろうし、説明があって当たり前な作品を好む人には難しいだろうし、人に勧めにくい作品だなとも思った。
二重のフィクションを簡単に説明することは単純に至難の業であるし、その仕組みを話そうとすると何かネタバレを踏んでしまいそうな気がする厄介なトラップでもある。


またー。