性格の悪そうなBLOG

いちいち長いですが中身は特にないです。

食べ合わせバタフライエフェクト

交差点で信号待ちをしていたら、その1、2分の間に居合わせたお婆さんが同行者に「なんくるないさー」のイントネーションで「インフルエンサー」と連呼していて、得体の知れない煌びやかなだけの存在が急に温暖な気候の自然豊かな土地で育った穏やかな人のような親近感を抱くに至り感心してしまった。イントネーションの魔法。インフルエンサーから普段遠い価値観で暮らされているだろう方から発せられているのもまた効果を抜群のものとした気もしている。
しかし、自分の中で反芻し、SNSに報告し、仲間内に話すに従って何と言うか嘘エピソードの様な都合の良さを感じてしまい、確かに聞いたはずなのに「本当に聞いたのか」という気持ちになってきてしまった。
俗に言う「嘘松」現象である。
何故か覇権を握ったおそ松さんの過激さに呼応する無遠慮なオタクたちが撒き散らした嘘みたいな、恐らく嘘であろうエピソードの数々を指す意味の「嘘松」はおそ松さんが終わった今でも「嘘エピソード」の総称として今も残り続けている。
そもそも現実世界よりSNS上での経験値が豊富な人間が、見てもいない誰かの発言を一方的にジャッジしていくレギュレーションが狂っているが、そういう歪みというものがある種のポップさを伴って、作品から分離したことで何処にでも顔を出せる存在になっていっている気がして、正に胡散臭いインフルエンサーの様な存在感がある。
お婆さんが和らげてくれたインフルエンサーの印象が徐々に基準点へ戻り、そこからマイナスにじわじわと領域を拡大するのを感じる。
嘘松は映画「ミスト」の霧の様に広がり続けている。侵されているのは心なのか身体なのか、何にしても映画の様に胸糞悪いエンディングを迎えないよう、細心の注意を払いたいもしくは気に留めずに生きていきたいとは思う。

 

それはそうとファミマにジャークチキン風味という、これまで自分が聞いたことのない料理を模したサラダチキンが売られており、試しに買うついでにどんな料理なのかを調べてみたらジャマイカの伝統的な料理だと知ることが出来た。
ジャマイカというと陸上の短距離走が滅茶苦茶強い国というイメージで、食べ物については何も気にした事が無かったなと、コーヒーを中心にジャマイカについて紹介してくれるUCCのサイトを興味深く読んでいた。
https://journal.ucc.co.jp/column/1165
ジャマイカの代表的な料理を紹介するページにアキー&ソルトフィッシュという料理が登場しており、これが中々にインパクトのある説明で面白かった。果物と魚と野菜を炒めた結果、スクランブルエッグのような味わいになる、との事である。
色んな材料で色々やった結果がスクランブルエッグかい、というのが第一印象である。
味覚やら栄養素やら何やらもあって定着している国民食になんたる無礼な物言いだろうと思うが、見慣れなさ過ぎて仕方がない向きもある。
日本人に味の蓄積、経験値がないからスクランブルエッグみたいな味と近いもので説明するのが最善という判断なのだろう。実際にイメージも湧くし、本当にそういう風味なのか食べてみたいという気持ちになる。
実際のところ日本人にはそう感じられるだけでジャマイカの人たちにとってはもっと立体的な風味なのだと思う。
各家庭の味噌汁の微妙な違いを認識できるのは、日本人が味噌汁を飲む機会が多いのでデータが蓄積されて区別がつけられるからという話を思い出した。
海外の料理を食べた時に、これを食べ慣れた人たちは自分が感じられない小さな差をより楽しんで美味しく感じているのかと悔しくなるし、そういう意味では多様な料理が当たり前に食べられる国に生まれて幸運だった気がするし、贅沢になっちゃってるんだろうなという気もした。
何にしてもジャマイカ料理がどれも美味しそうなのでいつか食べてみたいなと思った。


またー。