人生で初めてせんべろを達成した。
これまでせんべろというのはお酒を前にしても理性がブレない真の大人が成す、自分にとっては半ばファンタジーの様なものだと思っていた。
何せお酒よりおつまみに本気になってしまうので何とか取捨選択しても1500円が関の山だったんだけど、今回たまたま予定の前に30分という時間の制約があった事で960円という金額を達成することが出来た。
まあその予定というのが「絶対こんなん怖いやん、アルコール入れてちょっとセンサー鈍らせておかないとアホ程受け取って使い物にならんくなるで」と予想される映画を観るというものだったので、その緊張もあって控えめになっていたのかも知れない。
今回観たのは「死刑に至る病」で、まあ飲んだ分の余裕を冒頭で消し飛ばす尋常じゃない怖さだったのでせんべろが達成出来た喜びも木っ端微塵。短い栄光だった。
ホラーとかオカルトとかそういうんじゃないし、スプラッタな描写も想像よりは少ない(が、滅茶苦茶ガッツリやってるので得意じゃない方は覚悟頂きたい)んだけど、なんというかそもそも主人公に殺人鬼がどこから影響を与えてるんだよとか、どういう発想でそうなってるんだよとか、本当にサラサラと明かしてくる答えがあんまりに強烈なので考えると考えるだけ怖い。
殺人鬼を演じた阿部サダヲさんのハイライト無しの目(予告でもお試し可なので是非)、話し方、姿勢、全部怖い。無理だ。ありとあらゆる意味で人間を壊す天才を具現化してしまっており、今となってはグループ魂の「君にジュースを買ってあげる♡」すらも怖いし、たまたま映画前にNo映画泥棒的な、海賊版への警告CMに採用されていたケロロ軍曹だって怖くなってしまう程である。(ケロロ軍曹のアニメのテーマ曲が「君にジュースを買ってあげる♡」だったので)
白石監督は「凶悪」でピエール瀧さん、「孤狼Level2」で鈴木亮平さんを、そして今回は阿部サダヲさんを二度と忘れられない恐怖の象徴にしてしまったのでもう正直若干こっちも怒ってしまう程である。返してくれあの平和な日々を。
雨のシーンやガラスに映る顔のシーンなど、これまでの作品とリンクしてくる恐怖の連鎖システムが発動しておりどうしようもない。ボコボコにやられた。
お陰で日記でまでせんべろの話がどこかに行ってしまった。どうしてくれるんですか。僕は怒っていますよ。ありがとうございました。
それはそうと生まれて初めてスマホの画面を割った。
モデルを更新するたびに強度が上がってまっせとアピールしていたiPhone(何故か家電のアピールポイントをエセ関西弁で再現してしまう)で、その言葉に偽りのないことを証明するかの様に駅の階段から5段下まで落としても無事だった愛機である。
もうG-SHOCKかiPhoneかくらい勝手に信頼しており、一体世の中の人はどうやってこの頑丈な画面を割るんだろう、野良の像に踏まれたりするんだろうかくらい謎に思っていたんだけれど、家の玄関で靴を履こうと屈んだ際に30センチくらいの高さから玄関床のタイルに落ちた際に割れてしまった。
まさか割れるなんて想定をしていなかったので拾い上げて思わず「スマホを落としただけなのに」と観てもいない映画のタイトルが口をついた。
いやまあ落としたから割れてるんですけど。
コンクリート、アスファルトに落としても割れなかった画面がまさか家のタイルで割れるなんて、自宅玄関のタイルはこの世で一番硬い材質なんじゃないかと疑ってしまうレベルであり、単純にジワジワと割れた悲しさが湧いてきて割と割れたショックを長く引きずった。割と割れたという字面の誤字無し誤字感。
スマホの画面が割れてしまった人たちはどんな気持ちなんだろう、きっと切なさと虚しさが画面を見る度に蘇るんだろうな、と思っていたが、実際そんな感じで過ごしている。
暫く自戒の念も込めて割れたままで使い続けようと思っているが、人間慣れてしまうものできっと時間が経てば気にしなくなるんだろうと思うし、単に画面の修理に持っていくのが面倒という事実、そしてそろそろ買い替え時だからなぁという戯言が罪悪感を上回ってしまうのも時間の問題である。
またー。